MHRA(英国医薬品医療用製品規制庁)は7日、病的賭博(pathological gambling)と性欲亢進(increased libido)について、ドパミン作用薬の使用と関連づけられるとしたレポート(Public Assessment Report)を公表し、すべてのドパミン作用薬について、患者向けリーフレット(patient information leaflet)にこれらの情報を加えるよう求めています。
Dopamine agonists: pathological gambling and increased libido
(MHRA Safety warnings and messages for medicines 2006.11.7)
★日本語訳の要約が、医薬品安全性情報Vol.4 No.23に掲載されています
ドパミン作動薬:病的賭博とリビドー亢進(性欲過剰)がクラス効果である可能性
http://www.nihs.go.jp/dig/sireport/weekly4/23061116.pdf
このレポートによれば、2005年8月にはオランダで’Pergolide and pathologic gambling’というレポートが発表、同じ年フランスではプラミペキソールについて病的賭博を副作用の項目への追加が考慮、スウェーデンでも2005年10月にウェブサイトでこの問題を伝えるなど、欧州ではすでに多くの国がこの問題について注目をしているようです。
そこで英国でも昨年11月に、EU加盟国に対し、「どのようなドパミン作用薬が上市されているか」「ドパミン作用薬と強迫性障害(病的賭博、性欲亢進を含む)についての報告があるかどうか」「添付文書(Summary of Product Characteristics)に、強迫性障害についての記載があるか」「その他関連情報があれば何でも」などの情報求め、16カ国から回答が得られたそうです。
レポートによれば、フランスで10例、オランダで2例、英国で6例のドパミン作用薬と関連づけられる病的賭博の報告があり、またフランスで10例、アイルランドで1例、オランダで1例、英国で14例のドパミン作用薬と関連づけられる性欲亢進についての報告があったそうです。
また、これらの情報の添付文書への記載状況ですが、病的賭博については、プラミペキソールについては望ましくない効果(undesirable effects)の項目で、rotigotineでは望ましくない効果、警告及び使用上の注意(special warnings and precautions for use) の項目で記載、また性欲亢進については、レボドパ・カルビドパでは、13カ国で記載が行われているそうです。
さらにこのレポートでは、TOPICS 2006.3.21で紹介した文献報告などを引用、ドパミン作用薬と病的賭博・性欲亢進の関連性についての見解をまとめています。
ギャンブル依存症や性欲亢進などは、当事者にとってはつらいことであっても、現場では言いにくいデリケートな問題です。
しかし、真の意味でのQOLを考えると、こういった問題は今後軽視することはできないのではないでしょうか。日本での現状はどうなのでしょうか?
関連情報:TOPICS 2006.03.21 パーキンソン病とギャンブル依存症
2006年11月10日 1:40掲載 11日 0:20更新
2006年11月10日 01:40 投稿