11月30日開催の薬事・食品衛生審議会の医薬品等安全対策部会で示された、改正薬事法による一般用医薬品のリスク分類案は、まだ決定ではありません。また、国会で議論されるというわけでもありません。 今行われている、パブリックコメント(意見公募手続)に寄せられた意見を考慮して最終決定がなされます。
パブリックコメントとは、行政機関が作成した政策案やその関連資料を公表して広く意見を募集し、寄せられた意見を考慮して最終的な意思決定をする仕組みで、厚労省関連のものだけでも、随時多くの意見募集が行われいて、またその結果についても総務省のウェブサイトを通じて公表されています。
今回の分類案も、このパブリックコメントにかけられています。
薬事法第36条の3第1項第1号及び第2号の規定により厚生労働大臣が指定する第一類医薬品及び第二類医薬品を定める件(仮称)の制定に関する御意見等の募集について
(2006年12月11日公示 意見・情報受付締切日 2007年1月12日)
パブリックコメントに寄せられた意見は意外にも重視されていて、過去においても厚労省の方針の変更がされた事例もあります。
2003年から2004年にかけて、薬局・薬店での薬剤師の不在問題が表面化した際に、厚労省が「夜間のTV電話での対応」を容認する一方で、通常の時間帯での薬剤師等の常時配置を、薬事法施行規則に明記することを検討し、パブリックコメントを行っています。(2004年2月「薬事法施行規則」及び「薬局及び一般販売業の薬剤師の員数を定める省令」の改正等に係る意見募集について」)
しかし、このときは
- OTCで重篤な副作用が起こる可能性は殆ど無い。
- 薬剤師不足や薬剤師の偏在がある。
- 一般用医薬品は使用者の判断・自己責任で使用されるものである
など、反対意見が続出(規制緩和を求める、ドラッグストア関係者が集中的に参加したとの説あり)し、厚労省の方針が撤回を余儀なくされたということがありました。(→パブコメ結果)
ですので、今回の分類案に疑問や意見がある場合には、積極的に活用するのも一つの方法です。国民から何も声がなければ、案がそのまま通ってしまいますし、結果次第では国の方針が覆るかもしれません。
関連情報:TOPICS 2006.12.5 一般用医薬品のリスク分類案が示される
2006年12月16日 22:00 投稿