PPIが、大腿骨頸部骨折のリスクを高めるかもしれない(英国研究)

 米国ペンシルベニア大の研究グループは、プロトンポンプ阻害剤(PPI)を1年以上服用すると、大腿骨頸部の骨折(hip fracture)のリスクが44%高まり、また高容量を使用すると、使用しない人に比べリスクは2.6倍になるとする調査結果をまとめ、論文がJAMAの最新号に掲載されています。Long-term Proton Pump Inhibitor Therapy and Risk of Hip Fracture
 (JAMA. 2006;296:2947-2953)
  http://jama.ama-assn.org/cgi/content/abstract/296/24/2947
  http://jama.ama-assn.org/cgi/content/full/296/24/2947

 この研究は英国の50歳以上約15万人(平均年齢77歳、女性が79%)を対象とした、コホート内症例対照研究(nested case-control study)で、骨折の発症率とPPIの服用歴について分析しています。

 その結果、骨折の発症率はPPIを服用しない人に比べ服用している人が高く、PPIの服用年数が1年で22%、4年になると59%高まるなど、服用期間が長い人ほど高いということがわかったそうです。

 研究者らは今回の研究結果について、「PPIによってカルシウムの吸収が阻害される可能性がある」として、「医師は、PPIの処方にあたってはこれらのリスクを考慮し、投与量は必要最小限に抑えるべき」「PPIによる長期の治療が必要な高齢者は食事を通じてカルシウムを摂取することが望ましい」としています。

参考:PPIs associated with increased risk of hip fractures
    (pharmacist.com.news 2006.12.27)
     http://www.pharmacist.com/articles/h_ts_1353.cfm
    Acid Reflux Drugs May Up Fractures(WebMD 2006.12.26)
     http://www.webmd.com/content/article/131/117904.htm
    読売新聞12月27日


2006年12月28日 23:30 投稿

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