眠剤服用後の異常行動に注意喚起(米FDA)

 米FDAは13日、米国内で販売されているすべての眠剤について、血管浮腫などの重篤なアレルギー反応や、眠っている(つまり記憶がない)にもかかわらず、何かを食べる、車を運転する、電話をかけるなどの異常行動を起こす可能性があるとして、これらの潜在的なリスクをラベルに記すよう製薬メーカーに要請しました。

FDA Requests Label Change for All Sleep Disorder Drug Products
(FDA NEWS 2007.3.14)
http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/2007/ucm108868.htm

日本語訳は、海外規制機関 医薬品安全性情報 Vol.5 No.7に掲載
http://www.nihs.go.jp/dig/sireport/weekly5/07070405.pdf#page=2

 今回ラベルの変更が求められたのは13成分で、この中には日本でも発売されている、酒石酸ゾルピデム(マイスリー)、フルラゼパム塩酸塩(インスミン、経過措置品)、クアゼパム(ドラール)、トリアゾラム(ハルシオン)、エスタゾラム(ユーロジン)、セコバルビタールナトリウムなどが含まれていますが、今回特に注目を浴びている異常行動については、ゾルピデム関連のものが少なくないようです。

 ゾルビデム(米名:Ambien)については、患者向けの広告の影響もあり、眠剤処方の年間4400万処方のうちの2760万処方されるなど、米国人の多くが使用しています。そのためか、「寝ている間に知らずうちに食べてしまい、太ってしまった」「ベッドに入ったところまでは覚えているが、道端で寝巻き姿で気がついた」など、関連が疑われる事例がここ数年いくつも報告されています。

 豪州でも既に今年2月、米国同様のゾルピデム関連付けられる異常行動が16件あったと発表、ゾルビデムを処方する際には、こういった異常行動を起こす可能性について、特に初めて使用する患者に対しては注意喚起を行うよう求めています。

Australian Adverse Drug Reactions Bulletin
(Volume 26, Number 1, February 2007)
https://www.tga.gov.au/publication-issue/australian-adverse-drug-reactions-bulletin-vol-26-no-1#a2

日本語訳は、海外規制機関 医薬品安全性情報 Vol.5 No.4に掲載
http://www.nihs.go.jp/dig/sireport/weekly5/04070222.pdf#page=10

 FDAの担当者は「これは夢遊病(sleepwalking)の範疇を超えている。専門家が見ても、起きているのか、眠っているか区別がわからない場合もあり、周囲の人に危害与える可能性もある」とし、また別の専門家も、「90%の事例で、アルコールが検出されている。広告を通じて、服用中は一滴のアルコールも飲んではいけないと伝えるべきだ」としています。

 今後、ラベルに服用中のアルコール摂取禁止や、神経を抑制する作用のある薬剤と併用しない、服用量を守るなどの文言が加えられる他。今年の末までに患者向け説明書(Medication Guides)も作成するとしています。

 さらに、FDAでは薬の種類によって異常行動の発生頻度が異なるとして、各製薬メーカー社に対し、発生頻度を確認するための臨床試験を行うよう勧告しています。

参考:共同通信3月16日
FDA Orders Stronger Warning Labels for Ambien, Other Sleep Drugs
(ABC NEWS 2007.03.14)
http://abcnews.go.com/Health/story?id=2952054
F.D.A. Warns of Sleeping Pills’ Strange Effects
(nytimes 2007.3.15)
http://www.nytimes.com/2007/03/15/business/14sleep.web.html?_r=0

3月17日 0:30 掲載 4月9日リンク追加 2015年11月3日更新


2008年03月17日 00:30 投稿

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