日本国内では、タミフルによる異常行動が大きく報道されていますが、海の向こう豪州では、入眠剤Stilnox(ゾルビデム、日本名:マイスリー)服用後の異常行動が、連日大きく報道されています。
ゾルビデム服用後の異常行動というのは、眠っている(つまり記憶がない)にもかかわらず、何かを食べる、車を運転する、電話をかけるなどの異常行動で、豪州では“Australian Adverse Drug Reactions Bulletin”での注意喚起以降、Adverse Medicine Events Lineを通じて、さらに多くの事例が報告されていることが、伝えられています。
このAdverse Medicine Events Lineは、英国のイエローカード計画(Yellow Card Scheme)と同様、患者が直接副作用報告ができるシステムですが、オンラインによる報告の他、電話(フリーダイヤルではなく市内通話料金)による報告(回線混雑の場合は折り返し電話をかける)も可能になっていることから、バルコニーから落ちた、交通事故を起こした、ペンキを塗っていた、たばこを吸っていたなど、多いときで1日40件、全部で500件以上の事例が寄せられているそうです。
Adverse Medicine Events Line(リンク切れ)
Webサイト:http://www.mater.org.au/ame/
リーフレット:http://www.mater.org.au/ame/AMEBrochure.pdf
現在のWebサイト:http://www.nps.org.au/contact-us/adverse-medicines-events
このAdverse Medicine Events Lineでは、副作用報告の受け皿の他、調剤過誤(medicine errors)やヒアリハット(near misses)などの事例、薬の安全性について、経験豊富な薬剤師が相談に応じ、薬の安全性についての懸念を消費者に代わって当局に伝えるとしています。(運営は第3者機関のようです)
日本ではタミフル問題をめぐっては、識者から副作用の報告や開示のシステムに問題があるのではないかと指摘がありますが、患者に代わって薬剤師がそれらをまとめて副作用等を当局に報告、または公表するというこのシステムは、副作用が疑われる事例の迅速な把握が可能であり、日本でも検討されてもよいのではないでしょうか?
なお連日の報道を受けて豪州の当局は5日、Stilnox製造元のサノフィ・アベンティス社に対し、アルコール併用時の異常行動の可能性についての警告を加えるよう命じたと伝えています。サノフィ・アベンティス社もステートメントを発表して、製品情報を改めるとしています。
Stilnox statement (2007.4.5) →リンク
関連情報:TOPICS
2005.11.08 患者による副作用直接報告(英・イエローカード計画)
参考:
Warning upgrade for sleeping pill
(Sydney Morning Herald 2007.4.5)
http://www.smh.com.au/national/warning-upgrade-for-sleeping-pill-20070405-65n.html
Wake-up call on drug(The Courier-Mail 2007.3.22)(リンク切れ)
http://www.news.com.au/couriermail/story/0,23739,21423628-5003426,00.html
4月7日 0:40掲載 2015年11月3日リンク再設定
2007年04月07日 00:40 投稿