一般用風邪薬を原料にメタンフェタミンを密造(韓国)

 複数成分が配合された一般用風邪薬を原料に、メタンフェタミンを密造し、使用したとして、米軍出身の在米韓国人グループが拘束、起訴されたと1日の韓国各紙が伝えています。(以下、インフォシークの翻訳サイトを使い記事をまとめました)

 容疑者らは今年初め、ソウル鍾路一帯の薬局を回って、韓国のA社の風邪薬100万ウォン(約12万8000円)分を購入、ここからプソイドエフェドリンを抽出し、メタンフェタミン50グラム(末端価格で1億6000万ウォン、約2050万円)を製造し使用した疑いが持たれています。

 韓国内では、プソイドエフェドリン単独の製品については、既に規制の対象になっていますが、複合成分が含まれているものについては、抽出は困難で悪用される可能性はないとして規制は見送られてきました。しかし、今回それが覆されたことから、当局や製薬業界は大きな衝撃を受けています。(商品名はわかりませんでしたが、セチジリンとの配合製品のようです)

 容疑者らは、メタンフェタミンの密造方法については、製造方法が書かれている本や米国のインターネットサイトで調べたり、知り合いのメキシコ人から直接教わったと供述しており、検察当局は製造には熟練した技術が必要としながらも、今後模倣犯がでてくるのではないかと、懸念しているという。

 ここ数年、韓国国会でも、一般用風邪薬からメタンフェタミン密造の危険性が度々指摘されていましたが、今回の事件を受けて、プソイドエフェドリンを専門医薬品(処方せん医薬品?)にすべきではないかという声が高まっています。

 しかし、韓国内でもプソイドエフェドリンを含むものだけで36品目(市場規模65億ウォン)、他のエフェドリン類含むものになると一般用風邪薬約760(市場規模数百億ウフォン)に達するという。このため、製薬会社への影響が大きいことから、韓国食品医薬品安全庁の担当者は、「専門医薬品にすると咳の治療だけで医者に行かなければならず、国民に不便を強いる」として、医薬品の分類の変更や販売禁止には消極的な姿勢を示し、対応に苦慮していることがうかがえます。

 4日の報道によれば、エフェドリン類が抽出できないような添加物を加えるなどの案、専門医薬品にする案、販売量を制限する案などが検討されているようですが、具体案はまとまらないようです。

 やはり、メタンフェタミンの密造は世界的に深刻のようです。英国では、プソイドエフェドリンを処方せん医薬品に分類を変更するなどの厳しい規制案が示され、現在パブリックコメントにかけられていますが、韓国の事件を考えると英国の対応は妥当なのかもしれません。

 今後、今回の事件についての詳細が報じられると思いますが、日本でも対岸の問題とせず、情報を収集して適切な対応が求められます。私たちも、プソイドエフェドリン配合鼻炎薬の不適切な購入がないかどうか留意する必要があるでしょう。

関連情報:TOPICS
 2007.03.08 英国、プソイドエフェドリンの販売規制を検討

参考:
一般医薬品で麻薬製造、在米韓国人二人起訴(朝鮮日報日本語版2007.5.2)
KMA times(2007.5.2)
dream drug com.(2007.5.2)
http://www.dreamdrug.com/Users/News/newsView.html?ID=82928&nSection=1
operndoctors(2007.5.2)

5月4日18:00更新 (転載はご遠慮下さい)


2007年05月02日 22:10 投稿

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