FDA諮問委、6歳未満に風邪薬を使用しないことを勧告

 米FDAは、18日、19日の2日間にわたって、非処方せん薬諮問委員会(Nonprescription Drugs Advisory Committee)と小児科諮問委員会(the Pediatric Advisory Committee)の合同の委員会を開催し、小児への風邪薬や咳止めについての有効性や安全性についての審議を行いました。 

 当日は、「子どもは小さな大人ではない」など、さまざまな立場から改めてこれら薬剤への有効性と安全性についての意見が述べられ、最終的には小児へのこれら薬剤の投与は、現在の用量は大人の使用量から割り出したもので、臨床的科学的根拠がないと結論、評決の結果6歳未満の子どもにはこれらの薬は使われるべきではないとの勧告をまとめました。(2歳未満については満場一致で可決、2歳以上6歳未満については13対9で可決、6歳以上12歳未満については7対15で否決)

 APhA(米国薬剤師会)ニュースやAPなどによれば、対象となるのはプソイドエフェドリンなどの第一世代の充血緩和薬、クロルフェニラミンなどの抗ヒスタミン薬、鎮咳薬等で、去痰剤や解熱鎮痛剤は除外されるようです。

 また同委員会では、安全性の確保のため、液体タイプのOTC風邪薬・咳止薬について、容器などを標準化することを求める勧告を満場一致で採択しました。

 諮問委員会の勧告は強制力を持つものではありませんが、通常FDAは諮問委員会の勧告に従うことから、医薬品分類の変更など今後制度の見直しが検討されるものと思われます。

 NewYork Times紙によれば、関連するOTC薬は米国内には約800品目あり、39以上の成分が使われているそうです。また、親はこれらを毎年38億回使用するために、9500万箱を購入し、5億ドル使っているとしています。このため、子ども向けOTCの市場に大きな影響を与えることは間違いなく、業界団体は早速、今回の勧告に対するステートメントを発表しています。

Statement from the Consumer Healthcare Products Association on Today’s Joint FDA Advisory Committee Recommendations Regarding Pediatric Over-the-Counter Cough and Cold Medicines
 (CHPA NEWS RELEASE 2007.10.19)
http://www.chpa-info.org/content.aspx?id=256

ちなみに、クロルフェニラミンなど鎮静作用のある抗ヒスタミン剤が含まれるOTC薬の取り扱いは、処方せん医薬品のスイッチ化が進むニュージーランドや豪州では既に慎重な対応が取られています。

Clarification of the Medicines Classification Committee’s (MCC) decision for sedating antihistamines(Medsafe 2005.12.16 Update)
  http://www.medsafe.govt.nz/Profs/class/SedAntihistamines.asp

 上記によれば、2歳未満への用法があるものは、Restricted Medicines(要薬剤師薬、日本の第一類に相当)に指定、またそれ以外についても、Pharmacy-Only medicines(薬局用薬、薬局のみで販売が可能)など、薬剤師の管理下で販売するよう義務付けています。

 日本でも、乳幼児向けのOTC薬にこれらの成分を含むものが少なくありませんが、今回の米国の動きに日本の厚労省がどのような反応を示すか注目したいと思います。

 資料:各団体発表の見解
APhA Recommends FDA Improve Pediatric OTC Labeling
    (APhAプレスリリース 2007.10.19)
 http://www.pharmacist.com/AM/Template.cfm?Template=/CM/ContentDisplay.cfm&ContentID=14266
Comments before an FDA advisory committee on the availability of over-the-counter pediatric cough and cold formulations(Public Citizen 2007.10.19)
  http://www.citizen.org/publications/release.cfm?ID=7548

 関連情報:TOPICS
     2007.09.30 OTC風邪薬の乳幼児への使用、大幅に規制か(米国)
     2007.10.12 小児用OTC風邪薬・咳止め薬、自主回収へ(米国)

 参考:FDA recommends withdrawal of cold meds for children under 6
     (APhA news 2007.10.19)
 http://www.pharmacist.com/AM/Template.cfm?Template=/CM/ContentDisplay.cfm&ContentID=14281
    FDA Advisory Committees discuss safety of cough and cold meds
     (APhA news 2007.10.18)
 http://www.pharmacist.com/AM/Template.cfm?Template=/CM/ContentDisplay.cfm&ContentID=14252
    FDA panel: Don’t use cold meds in kids under 6
     (MSNBC 2007.10.19 AP配信)
     http://www.msnbc.msn.com/id/21376717/
    Parents perplexed by cold medicine advice
     (MSNBC 2007.10.19)
     http://www.msnbc.msn.com/id/21381749/
    FDA Panel Recommends Ban on Cold Medicines for Kids
     (Health Day News 2007.10.19)
     http://www.healthday.com/Article.asp?AID=609303
    Experts Seek Ban on Cold Medicines for Those Under 6
     (NewYork Times 2007.10.19)
     http://www.nytimes.com/2007/10/19/washington/19cnd-fda.html
    共同通信10月20日
     http://www.47news.jp/CN/200710/CN2007102001000177.html 

10月20日 12:30掲載 13:10更新 23日13:00更新 28日訂正


2007年10月20日 12:30 投稿

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