FDAは20日、禁煙補助薬“Chantix”(成分名:Varenicline、本邦未発売) について、服用後、眠気や自殺的な考え、攻撃的な態度や異常行動が見られる報告があったとして、Early Communication(早期伝達)を出して、患者や医療従事者に注意を呼びかけるとともに、服用後の有害事象があれは報告を行うよう求めています。
この早期伝達とは、進行中の医薬品安全性レビューについて国民に通知する FDAの責務に従って行われるもので、因果関係は明らかではないものの、有効性と安全性について今後データを精査を行っていくことを明らかにするもので、最近しばしばFDAのWEB上に登場します。
今回の早期伝達で、FDAでは次のような勧告を行っています。
- 医療従事者は、Chantixを服用した患者の態度や気分が変化しないかどうかモニターすべきである。
- もし、服用した患者に態度や気分の変化が現れた場合は、医者と連絡を取るべきである。
- Chantixを服用する場合は、影響の有無がはっきりするまでは、車の運転や機械操作などは十分注意を払うべきである。
FDAでは、これらの事例の多くは服用開始後、数日から数週間で現れ、また攻撃的な態度や異常行動はアルコール消費と関連する可能性があることを指摘しています。
Early Communication About an Ongoing Safety Review
(FDA 2007.11.20)
http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/
PostmarketDrugSafetyInformationforPatientsandProviders/
DrugSafetyInformationforHeathcareProfessionals/ucm070765.htm
http://www.fda.gov/cder/drug/early_comm/varenicline.htm
Chantix (Varenicline)(Medwatch safety alert 2007.11.20)
http://www.fda.gov/Safety/MedWatch/SafetyInformation/
SafetyAlertsforHumanMedicalProducts/ucm152098.htm
http://www.fda.gov/medwatch/safety/2007/safety07.htm#Chantix
日本語訳概要は、医薬品安全性情報Vol.6 No.1に掲載されています
http://www.nihs.go.jp/dig/sireport/weekly6/01080110.pdf
これをうけ、 Prescribing Informationの一部変更が行われています。
Chantix Prescribing Information(Labeling Revision 2007.11.20)
http://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2007/021928s003lbl.pdf
http://www.fda.gov/medwatch/safety/2007/Chantix_PI.pdf
このChantixは、2006年5月にFDAが承認、同年8月より販売を開始した内服タイプの禁煙治療薬で、英国など海外では広く承認されています。日本では、個人輸入などで使用されているケースが少なくない他、22日開催された厚労省の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会で、承認しても差し支えないとする結論が出ていることから、おそらく半年以内に、治療薬として日本でも使われるものと思います。
関連情報:TOPICS 2006.05.13 FDAが飲む禁煙治療薬を承認
参考:
FDA Investigating Psychiatric Events among Chantix Users
(Health-System Pharmacy News 2007.11.21)
http://www.ashp.org/menu/News/PharmacyNews/NewsArticle.aspx?id=2699
http://www.ashp.org/s_ashp/article_news.asp?CID=167&DID=2024&id=23181
RISFAX Headline 11月26日
医薬品第一部会、5成分を承認へ−新タイプ禁煙補助剤が登場
(薬事日報 HEADLINE NEWS 11月29日)
http://www.yakuji.co.jp/entry5092.html
11月26日12:20更新 29日リンク追加 08年1月16日リンク追加 12年8月26日リンク再設定
2007年11月22日 22:10 投稿