政府の規制改革会議(http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/)が25日開催され、第2次答申を正式に決定しました。答申全文は規制改革会議ウェブサイトで公表されています。
規制改革推進のための第2次答申(平成19年12月25日)
http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/publication/index.html#secondreport
第2次答申では冒頭、「現下の国民のニーズに早急に応えるべく、暮らしの安心・豊かさ・利便性の向上に結びつく生活に身近な分野及び地域活性化に資する分野に重点的に焦点を当て、審議を行った。」と記され、医療分野については、いわゆる「混合診療」の見直し、医療職種の供給体制の再検討、医療サービスの効率化と質の向上、後発医薬品の使用促進などについて、具体的施策を示しています。
このうち、医療職種の供給体制の再検討については、12月7日のTOPICSでも紹介しましたが、「医師不足対策として、医師が行うこととされている医療行為のうち、看護師など医師以外の医療従事者でも実施可能なものについては、積極的に実施を認め、医師の業務をより高度で専門的なものに絞るべき」とし、また、「医師及び看護師その他の医療従事者を含めた適切な役割分担を検討し、総合的医療供給対策を講じることも医師不足対策として効果的である」としています。
そして同会議では、現状の勤務医・産科医の不足、高齢化社会が進展する中で増加が見込まれる在宅あるいは介護施設内での医療ニーズがあるとして、以下のような具体的事例を挙げ、医師と看護師等の医療関係職等との間での適切な役割分担がどうあるべきかについて十分な検討を行い、順次、速やかに必要な措置を講じるべきであるとしています。
- 医療現場における実情を踏まえ、訪問看護等における医師の事前の指示に基づく看護師による薬の投与量の調整
- 正常分娩における助産師の活用
- 訪問介護員等による経管栄養の取扱い
- 介護施設内における介護福祉士やヘルパーによるたんの吸引
さらに答申では、「看護師の職能範囲拡大として、諸外国の状況からナースプラクティショナーなどの職能の導入が必要であるとの認識もある。こうした措置により、全体としてより効率的な人員配置を図ることが可能である。」とし、看護師に、処方権を与えるべきではないかとする意見を併記しています。
医療制度は異なりますが、医者になかなかかかることのできない英国(医師不足というより、システム上の違いですが)では、看護師や薬剤師について一定の条件を満たせば処方権を認める他、公衆衛生やプライマリケアの分野で薬剤師職能の活用を国を挙げて積極的にすすめています。同会議では答申をつくるにあたって、もっと薬剤師職能を活用するということは考えなかったのでしょうか?
関連情報:TOPICS
2007.12.07 規制改革会議、看護師の処方権を求める
2007.03.14 薬局における健康教育のためのツール(英国)
12月25日 18:00掲載
2007年12月25日 18:00 投稿