英MHRA(医薬品庁)は7日、Drug Safety Update(DSU)の最新号を発表し、この中でスタチンの相互作用とアトルバスタチン(リピトール)についての最新情報を掲載しています。
Drug Safety Update: Volume 1, Issue 6, January 2008(MHRA 2008.1.7)
http://www.mhra.gov.uk/Publications/Safetyguidance/DrugSafetyUpdate/CON2033505
DSUでは、シンバスタチン(リポバス)、アトルバスタチンの相互作用について、特に詳しく記載していて、日本とは投与量が異なるものの、ミオパシーや横紋筋融解症などのリスクを考慮し、禁忌や注意喚起は日本よりも厳しい内容になっています。(上記原文をご確認下さい)
相互作用する 薬剤名等 |
処方情報(シンバスタチン) | 処方情報(アトルバスタチン) |
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強力なCYP3A4阻害薬 (イトコナゾール、ケトコナゾール、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、テリスロマイシン、HIVプロテアーゼ阻害剤) |
禁忌 | できれば避ける。 これらの薬剤が短期で使用されるのであれば、アトルバスタチンの一時中止を考慮するイトラコナゾール: アトルバスタチンは40mg/日を超えないこと クラリスロマイシン: アトルバスタチンは20mg/日を超えないこと HIVプロテアーゼ阻害剤 アトルバスタチンの必要最小量を確認すること(monitor lipid levels) |
シクロスポリン | シンバスタチンは10mg/日を超えないこと | アトルバスタチンは10mg/日を超えないこと |
ダナゾール | シンバスタチンは10mg/日を超えないこと | |
ベラパミル、アミオダロン | シンバスタチンは20mg/日を超えないこと | アトルバスタチンの必要最小量を確認すること |
ジルチアゼム | シンバスタチンは40mg/日を超えないこと | アトルバスタチンの必要最小量を確認すること |
グレープフルーツジュース | 避けること | 摂取はごく少量に制限する(または避ける) |
ワルファリン | 治療開始前、治療中(特に用量変更時)は定期的に、INR値をモニターすること | 治療開始前、治療中(特に用量変更時)は定期的に、INR値をモニターすること |
フィブラート系薬剤 | フィブラート系薬剤と併用した場合、ミオパシーのリスクが高まるのでシンバスタチンは10mg/日を超えないこと(特にフェノフィブラート)。 ゲムフィプロジル(日本未発売)との併用は、シンバスタチンの血漿中の薬物濃度を高める。 |
フィブラート系薬剤と併用した場合、ミオパシーのリスクが高まる。 ゲムフィプロジル(日本未発売)との併用は、アトルバスタチンの血漿中の薬物濃度を高める。 |
エゼチミブ | ミオパシーの相加的リスクが考えられる。 | ミオパシーの相加的リスクが考えられる。 |
CYP3A4誘導作用のある薬剤 (エファビレンツ、リファンピシン、セントジョンズワート) |
血漿中の薬物濃度が減少し、作用が減弱する可能性 | 血漿中の薬物濃度が減少し、作用が減弱する可能性 |
●ロスバスタチン(クレストール)
ロスバスタチンは、チトクロームP450による相互作用とは関係しないが、シクロスポリンとの併用は禁忌。HIVプロテアーゼ阻害剤との併用はロスバスタチンの血漿中の薬物濃度を非常に高めるので勧められない。制酸剤はロスバスタチンの血漿中の薬物濃度を減少させる。
●プラバスタチン(メバロチン)
プラバスタチンは、チトクロームP450による相互作用とは関係しないが、シクロスポリン、エリスロマイシン、クラリスロマイシンとの併用は注意する必要がある。コレスチラミンとコレスチポールは、プラバスタチンの血漿中の薬物濃度を減少させる。
2008年01月07日 22:30 投稿