昨年末12月25日のTOPICSで、医療従事者の役割分担の見直しを求めた、政府の規制改革会議(http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/)の第2次答申について紹介しましたが、「医師の指示に基づく看護師による薬の投与量の調整」について、現在でも可能だととする見解を示した通知が12月28日に、厚労省医政局から都道府県知事に対して行われています。
医師及び医療関係職と事務職員等との間等での役割分担の推進について
(厚労省医政局12月28日、通知文は日本病院会ウェブサイトに掲載)
http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20071228_01.pdf
今回の通知は医師不足や病院のや勤務医の負担軽減策の一環として示されたもので、医師でなくても対応可能な業務までも医師が行っている現状があるとして、医師法等の医療関係法令により各職種に認められている業務範囲の中であれば、各医療機関の実情に応じて、関係職種間で適切に役割分担を図り、業務を行っていくことが重要であるとして、役割分担の具体例が示されています。
薬剤師については、「薬剤の管理」の項目で、「病棟等における薬剤の在庫管理、ミキシンク、あるいは与薬等の準備を含む薬剤管理について、医師や看護職員が行っている場合もあると指摘されているが、ミキシングを行った点滴薬剤等のセツテイング等を含め、薬剤師の積極的な活用を図り、医師や看護職員の業務を見直すことで、医療安全の確保及び医師等の負担の軽減が可能となる。」として、病棟業務において、薬剤師が役割分担を行うよう求めています。
その一方で、看護師については「患者に起こりうる病態の変化に応じた医師の事前の指示に基づき、患者の病態の変化に応じた適切な看護を行うことが可能な場合がある。例えば、在宅等で看護にあたる看護職員が行う、処方された薬剤の定期的、常態的な投与及び、管理について、患者の病態を観察した上で、事前の指示に基づきその範囲内で、投与量を調整することは、医師の指示の下で行う看護に含まれるものである。」として、規制改革会議で示された「患者への投薬量判断を容認」を支持したものと受け取れる内容になっています。
今回の通知では、在宅医療における薬の管理は看護師が中心となって行うべきと読み取ることができますが、下剤の調節による便通の調節、医療用麻薬による疼痛管理(特にオピオイド鎮痛薬を用いたレスキュードーズの検討)などは、薬剤師が行ってもよいような気がします。
また、この通知には具体例として示されてはいませんが、医師の負担軽減を図るというのであれば、禁煙指導など保健的内容のものや、プライマリケアの一部(偏頭痛・性感染症)については、薬剤師を積極的に活用すると言うのは考えないのでしょうか?
通知では「今後も、各医療機関からの要望や実態を踏まえ、医師、看護師等の医療関係職、事務職員等の間での役割分担の具体例について、適宜検討を行う予定であることを申し添える。」としていて、日薬などの組織による積極的な働きかけが必要と考えられます。
関連情報:TOPICS 2007.12.25 規制改革会議、医療従事者の役割分担の見直しを求める
参考:厚労省、看護師による投薬量調整が可能に〜医師の指示下で
(薬事日報 HEADLINE NEWS 1月15日)
http://www.yakuji.co.jp/entry5492.html
毎日新聞1月14日
http://mainichi.jp/select/science/news/20080114ddm001040004000c.html
1月15日0:00掲載 13:30更新
2008年01月15日 00:00 投稿