英国ハル大学(University of Hull)のアーヴィング・キルシュ教授らの研究チームは、抗うつ剤は高度のうつ病(severely depressed)患者には有効だが、軽度から中度のうつ病患者に対しては、プラセボと変わらないとする研究結果をまとめてPLoS Medicine 誌に発表しました。米国では報道が少ないのですが、英国などでは波紋が広がっています。
Initial Severity and Antidepressant Benefits: A Meta-Analysis of Data Submitted to the Food and Drug Administration(PLoS Med 5(2): e45)
この研究は、米国の情報公開法に基づいて公開されている、FDAでの承認時に提出されている47の治験データについて、fluoxetine (Prozac、本邦未発売)、venlafaxine (Effexor、本邦未発売)、nefazodone (Serzone 本邦未発売)、パロキセチン(パキシル)の4剤のメタ解析を行ったもので、研究者らは「軽度から中度のうつ病患者については、代替療法(非薬物療法)で効果が得られなかった場合を除き、抗うつ剤を処方する理由はほとんどない」としています。
各紙は、今回の発表を聞いて自己判断で服薬を中止しないよう呼びかける一方、現在再検討されているNICEのガイドラインに今回の報告が影響するのではないかと伝えています。
参考:AFPBB NEWS 2月27日
http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2356414/2684300
原文は、Depression drugs ‘little better than placebos': study
http://afp.google.com/article/ALeqM5gEEuJ39zh_YVAGV0BP21FhFSJAWA
Anti-depressants’ ‘little effect’ (BBC NEWS 2008.2.26)
http://news.bbc.co.uk/1/hi/health/7263494.stm
Antidepressants Only Benefit The Severely Depressed, Study
(Medical News TODAY 2008.2.26)
http://www.medicalnewstoday.com/articles/98634.php
Antidepressants may not help many patients
(MSNBC 2008.2.26)
http://www.msnbc.msn.com/id/23348068/
2月27日 14:20掲載
2008年02月27日 14:20 投稿