抗ヒスタミン剤、2歳未満は処方せんが必要(豪州)

 オーストラリアの公的医薬品規制機関のTGAは9日、多くの風邪薬や咳止めに含まれている鎮静作用のある抗ヒスタミン剤(sedating antihistamines)について、ベネフィットよりリスクが上回るとして、2歳未満については処方せん医薬品とすると発表しました。

 TGA announcement regarding the use of cough and cold medicines in children
  (TGA 2008.4.9)
  http://www.tga.health.gov.au/media/2008/080409cold.htm

 日本語訳概要が医薬品安全性情報Vol.6 No.10(国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部)に掲載されています。
  http://www.nihs.go.jp/dig/sireport/weekly6/10080515.pdf

 今回の発表は、今年2月に行われた医薬品分類に関する委員会(NDPSC:The National Drugs and Poisons Scheduling Committee)での決定を受けてのもので、非フェノチアジン系の鎮静作用のある抗ヒスタミン剤(ブロムフェニラミン、クロルフェニラミン、dexchlorpheniramine、ジフェンヒドラミン、doxylamine、フェニラミン、 triprolidine)について、 2歳未満の内服剤については、Schedule 3(要薬剤師薬)から Schedule 4(処方せん薬)に分類を変更し、今年9月から実施するとしています。

 TGAでは今回の措置についての理由は、2月に行われたNDPSCの記録を参考にして欲しいとしています。(PDFファイルの92ページから107ページ)

 NDPSC record of reasons, 52nd meeting, 19-20 February 2008
  http://www.tga.health.gov.au/ndpsc/record/rr200802.htm

 既に隣国ニュージランドでは、政府から2歳未満の風邪薬の使用禁止の勧告が行われていますが、今回のTGAの発表は、「これら抗ヒスタミン剤は2歳未満の乳幼児にはOTCとしては適さない」というより踏み込んだ立場となっています。

 最近、小児科医の処方でも以前と比べ、小児へのペリアクチンシロップなどの抗ヒスタミン剤の処方頻度が減っている感があるなか、わが国のOTC風邪薬には、今回豪州が規制対象とした成分を含むものが少なくありません。日本でも医薬品の3分類について、年齢に応じた規制を取り入れることは考慮できないのでしょうか?(昨年の日薬学術大会の分科会でこの件について質問しましたが、関係者の反応は鈍かったです) 厚労省・業界団体の反応がないのも気がかりです。

 関連情報:TOPICS
           2008.03.27 小児用OTC風邪薬の2歳未満の使用禁止を勧告(英国)
           2008.01.18 FDA、2歳未満へのOTC風邪薬の使用中止を呼びかける
           2008.01.18 ニュージランド政府も2歳未満の風邪薬の使用禁止を勧告

 参考:Infant medicines prescription-only(Australian 2008.4.9)
   http://www.theaustralian.news.com.au/story/0,25197,23511274-12377,00.html
    Govt bans over-the-counter sale of child cough medicine
      (豪州 ABC 2008.4.9)
    http://www.abc.net.au/news/stories/2008/04/09/2212484.htm

4月9日 21:20掲載 5月20日リンク追加


2008年04月09日 21:20 投稿

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