ビタミンEなどのいわゆる抗酸化サプリメントの有益性(というよりむしろ有害性)に関する論文の紹介については本サイトでも度々行っていますが、デンマークの研究グループが、抗酸化サプリメントに関する多くの論文を再検討した結果をThe Cochrane Library の最新号で発表しています。
Antioxidant supplements for prevention of mortality in healthy participants and patients with various diseases (Review)
(The Cochrane Library 2008, Issue 2,全191ページ)
http://www3.interscience.wiley.com/cgi-bin/mrwhome/106568753/CD007176.pdf
この研究は、MEDLINEなどで検索した論文のうち、67のランダム化試験232,550人のデータのメタ解析したもので、ビタミンC摂取群とセレン摂取群では、寿命への影響は見られなかったものの、ビタミンAでは16%、ベータカロチン摂取群では7%、ビタミンE摂取群では4%死亡リスクが高まるとしています。
研究者らは、「抗酸化サプリメントに、1次または2次予防となるエビデンスは確認できなかった。ビタミンA、ベータカロチン、ビタミンEは、死亡率を上昇させるかもしれない。ビタミンC及びセレンの1次または2次予防については、今後のランダム化試験の結果を見て評価されるべきだが、試験を行うにあたっては潜在的なリスクを考慮して十分にモニターされなければならない。また、抗酸化サプリメントは医薬品としてとらえるべきであり、発売前に十分な評価を受けなければならない。」と述べています。
今回もまた、サプリメントなどを販売する業界団体等からは、解析法を巡って異論の声があがっていますが、「体に必要なものは、サプリメントからではなくまずは食事から」ということだけは確かのようです。
関連情報:TOPICS
2007.03.02 抗酸化サプリメントが寿命を縮めるかもしれない
2007.05.16 マルチビタミンと前立腺がんリスク(米国研究)
2007.07.10 セレンと糖尿病リスク(米国研究)
参考:Some antioxidants ‘may be harmful’(AP 2008.4.16)
Vitamin Supplements Don’t Help You Live Longer, Study
(Medical News TODAY 2008.4.16)
http://www.medicalnewstoday.com/articles/104188.php
Antioxidant Study Renews Supplement Debate(ABC News 2008.4.16)
http://abcnews.go.com/Health/Diet/story?id=4660292
Vitamins can boost “rate of mortality”(Reuter 2008.4.16)
http://uk.reuters.com/article/domesticNews/idUKL1687880320080416
Vitamins ‘may shorten your life’ (BBC NEW 2008.4.16)
http://news.bbc.co.uk/1/hi/health/7349980.stm
4月17日 0:20掲載
2008年04月17日 00:20 投稿