グラクソ・スミスクライン株式会社(GSK)21日、パッチタイプのOTC禁煙補助剤「シガノンCQ」が16日に厚生労働省から承認を取得したと発表しました。
パッチタイプの禁煙補助剤「シガノンCQ」 OTC医薬品として承認を取得
(グラクソ・スミスクライン株式会社プレスリリース)
http://glaxosmithkline.co.jp/press/press/2008_01/P1000475.html
効能効果は、「禁煙時のイライラ・集中困難・落ち着かないなどの症状の緩和」で、今後、輸入通関の手続きや日本市場向けのパッケージなどを行い発売は夏になるそうです。GSKは製造を行い、販売は大正製薬株式会社が行うとのことです。(大正製薬のみだとすると、販売ルートに難がありますが)
ニコチンパッチのOTC化については、先月24日の厚労省の薬事・食品衛生審議会薬事分科会で、薬事・食品衛生審議会一般用医薬品部会を通過した、GSK社以外の2社の製品と合わせて審議が行われているのですが、その後正式に承認されたのアナウンスがなかったので、どうなっていたかと思っていましたが、ようやく承認されたようです。
ちなみに先月24日に審議されたのは、以下の3社の商品です。他社の製品もおそらく承認についてのアナウンスがおこなわれるのではないかと思います。いよいよ、ニコチンパッチも薬剤師の管理下で販売されることになります。
なお3製品の、1枚あたりの含有量は各社とも異なるので注意が必要です。
(WAM NET掲載の資料にリンク)
- シガノン(ニコチン含有量1枚あたり、78mg/36mg)
(グラクソ・スミスクライン=大正製薬) - ニコレットパッチ(ニコチン含有量1枚あたり、24.9mg/16.6mg/8.3mg)
(ジョンソン・エンド・ジョンソン=武田薬品工業) - ニコチネル・パッチ(ニコチン含有量1枚あたり、35mg/17.5mg)
(ノバルティスファーマ)
ちなみに医療用(ニコチネルTTS)のニコチン含有量は1枚あたり、52.5mg/35mg/17.5mgです。
世界的に見ると日本における禁煙補助剤のOTC化は非常に遅れています。既に国によっては、他の剤型のものがOTC化されていたり、薬剤師のいない一般の商店でも買うことができる国もあります。
種類 | 豪 | NZ | 加 | 米 | 英 | 仏 | 独 | 伊 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
gum | ◎ | ◎ | ○ | ◎ | ◎ | ○ | ○ | ○ |
patch | ◎ | ○ | ○ | ◎ | ◎ | ○ | ○ | ○ |
nasal spray | ☆ | ○? | ○ | Rx | ◎ | - | - | - |
oral inhaler | ○ | ○ | ○ | Rx | ◎ | ○ | ○ | ○ |
sublingual/lozenge | ◎ | ◎ | ○ | ◎ | ◎ | ○ | ○ |
○:OTC ◎:一般商店での販売も可 ☆:要薬剤師薬 Rx:処方せん薬 -:未承認
すでに、ニコチネルTTSの処方せんによる調剤は広く行われており、購入者への説明は難しくないとは思いますが、販売となるとやはり異なります。新しい薬事法下での第一類の販売方法の試金石となる可能性もあります。繰り返しになりますが、日薬には販売に関する情報作りをメーカーに委ねるのではなく、自ら会員向けに販売指針を示すとともに、国民に対しては「たばこを止めたい方は、まずは薬剤師に相談を」といったアピールを行ってもらいたいと思います。
これで、ニコチンパッチを用いた禁煙補助療法は、保険を用いた治療、保険を用いない治療に加えて、OTCによる自己療法が加わるわけですが、薬剤師が禁煙補助に貢献した場合に医師と同じように保険で支払われるような仕組みは作れないものでしょうか?
資料:OTC IngredientTable (AESGP 2007.1 UPDATE)
http://www.aesgp.be/publications/otcIngredientTables.asp
参考:薬事・食品衛生審議会薬事分科会資料
(平成20年3月24日開催 WAM NET 3月26日掲載)
RISFAX HEADLINE 3月3日
4月21日 15:50掲載
2008年04月21日 15:50 投稿