12日、厚労省の第2回医薬品安全使用実践推進検討会が開催され、平成19年度医薬品安全性情報活用実践事例の収集報告書などが示されています。
第2回医薬品安全使用実践推進検討会(2008年5月12日開催)
資料:http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/05/s0512-6.html
議事録:http://www-bm.mhlw.go.jp/shingi/2008/05/txt/s0512-2.txt
この検討会は、予測・予防型の安全対策の実践推進の観点から、医療現場における安全性情報の一層の有効活用を推進し、副作用等の回避を図ることを目的として、昨年度より2年計画で実施されている「医薬品安全使用実践推進事業」の一つとして行われているもので、日病薬が安全性情報の活用に関する調査や事例の整理、安全性情報の活用に必要と考えられる要素について今後とりまとめを行っていく予定です。
第1回医薬品安全使用実践推進検討会(2007年9月27日)
資料:http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/09/s0927-11.html
議事録:http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/09/txt/s0927-3.txt
今回の報告書は、日病薬が調査協力病院として選定した5病院から収集した、6つの取り組み事例(医薬品安全情報の収集、評価、提供において、実効性の高いもの)をもとに、医療機関における医薬品安全性情報の活用事例に共通するポイントまとめたもので、取り組み事例では本サイトでも紹介した、米国におけるペルゴリド(資料ではドパミン作動薬“A”としています)の自主的販売中止の情報を現場でどう伝えたかなどが紹介されてます。
報告書では、院内における安全性情報活用するためには、下記のような方策が必要としています。
- 薬剤部門における医薬品安全性情報の管理と必要な情報活用を提言しうる体制
- 医薬品安全性情報の活用対策への院内分担や協力体制に関するコンセンサスを形成するための委員会の存在
(薬事委員会、医薬品安全管理委員会等の適時・円滑な機能) - 処方医、使用患者を特定できる処方管理ツールの整備
(処方医、使用患者等の検索・抽出機能を有する薬歴管理ツールなど) - 知識と経験が豊富な医薬品情報担当薬剤師の配置
(安全対策の企画・立案のできる人材の育成と確保。医薬品情報専門薬剤師の学会等による養成・認定も必要) - 病棟薬剤師による入院患者を対象とした安全性情報の活用体制
上記の方策は確かに必要と思いますが、ある程度スタッフの揃った病院のみでしか成しえないとも考えられます。医薬品安全使用についての情報提供は、中小の病院や薬剤師のいない院外処方を行う診療所の医師や医療スタッフに対してどう行うかについては検討されていくのでしょうか?
事実第1回の検討会で、乾委員が「保険薬局との連携はどのように考えるか」などの指摘を行っています。少なくとも「医薬品安全性情報の管理と必要な情報活用を提言しうる体制」は個々の医療機関が行うのではなく、日薬なり日病薬などが組織あげて、海外情報などを積極収集し、タイムリーに提供するほうが効率的かつ薬剤師(会)の存在意義を示す上でも有用と考えるのですが。
関連情報:TOPICS 2007.03.30 ペルゴリドが販売中止へ(米国)
5月14日 0:20掲載
2008年05月14日 00:20 投稿