4日のGE品薬価収載から1週間が経ち、各メーカーの添付文書が出揃ったことから、アムロジピン錠5mgについて、医薬品医療機器情報提供HPの医療用医薬品の添付文書情報でデータを調べました。
AUC・Cmax・n値を比較したところ、試験対象が異なるはずなのに、同じ数値のものが多数見つかりました。さらに該当するものについて形状・大きさ・重さ・添加物を比較したところ、これらもほぼ同じでした。(一部インタビューフォームも確認、これもほぼ同じ記載)
つまり名称は異なるが、刻印とヒートを変えただけで中身は同じというものが数多く存在するということが容易に推測できます。
「」の 名称 |
販売 | 製造 | AUC | Cmax | n |
---|---|---|---|---|---|
EMEC | エルメッドエーザイ | エルメッドエーザイ | 101.79±29.05 | 3.06±0.96 | 20 |
KN | 小林化工 | 小林化工 | |||
JG | 日本ジェネリック | 日本ジェネリック | 77.72±18.94 | 2.33±0.44 | 15 |
マイラン | マイラン | マイラン | |||
YD | 陽進堂 | 陽進堂 | 77.8±18.9 | ||
MED | 化研生薬・メディサ | メディサ新薬 | 94.56±18.30 | 2.79±0.55 | 9 |
サワイ | 沢井 | 沢井 | |||
TCK | 辰巳化学 | 辰巳化学 | 127.98±23.55 | 3.65±0.39 | 10 |
TYK | 大正薬品 | バイオテック・ベイ | |||
イセイ | イセイ・カイゲン | イセイ | |||
タイヨー | 大洋 | 大興 | 122.5±33.4 | 3.5±0.8 | 9 |
CH | 長生堂 | 長生堂 | |||
フソー | 扶桑 | シオノケミカル | |||
あすか | あすか | 大正薬品 | 104.0±20.1 | 3.00±0.58 | 12 |
アメル | 共和薬品 | 共和薬品 | |||
タナベ | 田辺三菱 | 田辺 | |||
オーハラ | 大原 | 大原 | 159.01±63.16 | 3.67±1.36 | 20 |
コーワ | 興和 | 救急薬品 | |||
日医工 | 日医工 | 日医工 | 88.1±21.8 | 2.67±0.60 | 10 |
ガレン | マルコ・全星薬品 | マルコ | |||
NP | ニプロファーマ | ニプロファーマ | |||
ケミファ | ケミファ・日本薬品工 | 日本薬品工業 | 88.88±27.16 | 2.281±0.615 | 12 |
NS | 日新製薬 | 日新製薬 | 2.28±0.62 | ||
サンド | サンド | サンド | 98.783±13.994 | 2.553±0.496 | 24 |
ツルハラ | 鶴原 | 鶴原 | 117.6±6.1 | 3.56±0.15 | 15 |
トーワ | 東和薬品 | 東和薬品 | 93.5±32.8 | 2.804±0.828 | 16 |
明治 | 明治製菓 | 明治製菓 | 101.7±25.8 | 3.13±0.70 | 16 |
F | 富士製薬 | 富士製薬 | 72.94±13.76 | 2.22±0.40 | 9 |
PH | キョーリンリメディオ | キョーリンリメディオ | 77.8±13.7 | 2.02±0.32 | 12 |
今までも、子会社や業務提携などのために、同一成分を複数銘柄販売しているGEメーカーのなかに、同じようなケースがある(名称が異なるので当然薬価も異なる)ことは知っていましたが、今回改めてリストアップしてみて、驚きを禁じえません。ロキソプロフェンナトリウム錠60mgやニフェジピン徐放錠20mg1などや2年前初GEが出たクラリスロマイシン錠200mgも調べましたが、このようなケースはアムロジピン錠ほどではありませんでした。
GEメーカーにとっては、このことにより安定供給が可能になるのでしょうが、実際どこで製造しているかということも疑問になります。そして、2年後薬価の見直しの際、中身が同じなのに名称が異なる(先発品も同じですが)というだけで、価格に大きな差が生じることは間違いありません。
実際、去年7月の新GE3品目を調べたところ、次のような結果が得られました。
(=はデータが同じだったもの、( )内は今年4月からの薬価。タナベは去年収載も発売は今年4月になってからなので、実勢価というわけにはいかなかったのでしょう)
セチリジン塩酸塩錠10mg | KTB(85.9)=タカタ(87.5) |
---|---|
NT(85.9)=タナベ(99.5) | |
タイヨー(43.8)=SN(51.2) | |
TCK(64.9)=NP(51.2)=テイコク(60.2) | |
サワイ(96.3)=MED(96.3) | |
リスペリドン錠1mg | NP(21.5)=NT(28.6) |
サンド(28.6)=サワイ(28.6) | |
カベルゴリン錠1mg | サワイ(229.4)=タナベ(247.8) |
厚労省はGEメーカー育成(価格戦略・営業政策)のために、おそらくこのことは黙認しているのでしょうが、情報の管理や在庫取り揃えなど、薬局にばかり負担を課せられるのは疑問が残ります。少なくとも、中身が同じものについては名称を統一する、成分名ごとの薬価収載にするなど、GE品の銘柄別収載を再検討すべきではないでしょうか。
他の品目も調べてみました→TOPICS 2008.7.12 GE新規収載銘柄数、実際は多くない
7月11日 16:40掲載 12日1:10更新 23:20更新
2008年07月11日 16:40 投稿
こんなブログの記事をみつけました。
エパデールSの後発品の話の続き(drugstore style 9月8日)
http://d.hatena.ne.jp/hadakadebanezumi/20080908/p2
エパデールSの後発品も中身は同じなんですね。
Pingback: Tweets that mention よくこれだけバラついてて行政は承認したものだ。また、実際に作っている会社が少ないのが丸わかり。RT GE品銘柄別収載を見直すべき(アムロジピン錠データから) -- Topsy.com