厚労省は13日、薬事・食品衛生審議会で近く承認の可否の審議が予定されているサリドマイド製剤「サレドカプセル」の安全使用についてまとめた、「サリドマイド製剤安全管理基準書(案)」を公表し、パブリック・コメントを開始しています。
「サリドマイド製剤安全管理基準書(案)」に関する意見募集について
(意見・情報受付開始日 8月13日 意見・情報受付締切日 2008年9月11日)
【サリドマイド製剤】市販後安全対策案を公表‐パブコメ開始
(薬事日報 HEADLINE NEWS 8月19日)
http://www.yakuji.co.jp/entry7738.html
サリドマイドは、1960年代四肢奇形・重度の先天異常などの深刻な薬害をもたらした成分で、現在日本では製造承認がありませんが、その後の薬効の研究で一部の悪性腫瘍に対する有効性が確認されていることから、多発性骨髄腫の患者さんから治療薬として承認が要望されています。
現在は、藤本製薬申請の多発性骨髄腫治療薬として承認審査が行われていますが、過去の薬害の悲劇を繰り返されないよう、承認・発売後の厳格な管理や適正な使用、本剤の胎児への曝露を防止することを目的に、この「サイドマイド製剤安全基準書〜サリドマイドの教育と安全使用に関する管理システム 3 TERMS (Thalidomide Education and Risk Management System)」が作成されています。
この基準書(案)によれば、本剤の納入は管理上の責任を担う「責任薬剤師」がいる調剤所を有する施設のみに限定(調剤は責任薬剤師以外でも可だが、情報提供を受けることが必要)され、処方も、藤本製薬株式会社に登録されている処方医師による院内処方に限定されるそうです。
本剤の交付には、「専用のカプセルシート」(実際にどういうものかは示されていませんでした)が合わせて交付、患者の服薬状況が細かくチェックされ(診察に持参。未使用時はカプセルシートに残した状態にしておく)、未服用薬がある場合、処方医師及び責任薬剤師等は、必要数量から未服用薬数量を差し引いて処方及び調剤を行います。
また、患者が本剤を紛失した場合にはメーカーへの報告義務が求められ、服用中止や患者の死亡等の理由で不要薬が発生した場合は、患者又は薬剤管理者は不要薬を調剤元の医療機関の責任薬剤師等へ返却する措置がとられます。(メーカーがこれをさらに回収し廃棄)
さらに基準書では、処方ごとの妊娠検査の義務付け、妊娠の回避の方法、手順などが記されています。
責任薬剤師及び調剤に関わる薬剤師はこの基準書の他、「サリドマイド被害説明用冊子」「教育補助ビデオ」「避妊方法解説書」「緊急避妊方法解説書」などの情報提供が行われるとのことです。
関連情報:TOPICS 2004.12.11 サリドマイド使用にガイドライン(未承認薬では初)
財団法人いしずえホームページ
http://www008.upp.so-net.ne.jp/ishizue/frame.html
参考:日刊薬業ヘッドラインニュース8月18日
8月20日 リンク追加
2008年08月13日 16:11 投稿