6日、7日に東京で行われた日本社会薬学会第27年会(http://syayaku27.com/program.html)の続報です。今度は病院薬剤師に関するものです。
9月4日のTOPICSで、病院薬剤師(会)が現在、薬剤の投与量の調整などといった新たな業務の可能性を検討しているとお伝えしましたが、6日のシンポジウムで講演した東京医科歯科大学歯科病院の土屋文人先生は、個人的な考えと前置きした上で、「まず病院薬剤師がすべきことは何かを考えることが重要であり、「医薬品の適正使用の確保」をすべく、チーム医療の一員として薬剤師としての独立性を発揮すべきである。」と指摘し、 「処方権の獲得にこだわったり、ミニ医師を目指す必要はなく、まず、薬剤師の職能を全うすることが重要である。」と強調しました。
土屋先生はまず、「調剤」「供給」「交付後」それぞれにおける、適正使用のための重点業務について指摘、「調剤」においては、オーダリングによる薬剤の選択エラーが少なくないとして、疑義照会を徹底することを、「供給」においては、医療安全の観点を踏まえた供給方法の確保(入院患者への処方方法の見直し、病棟薬剤師による調剤薬の患者への交付等)や他の医療職への情報提供の強化を、また「交付後」においては、有害事象の発生、重篤化の防止のための業務強化を呼びかけました。
また、保険薬局で行われた疑義照会の結果(処方薬の変更)等のカルテへの反映が必ずしも確保できていないと指摘し、オーダリングシステムの改善(システム上、採用医薬品ののみしか表示することができない)の必要性や、医療機関として不適正な院外処方せんが発行されないよう、チーム医療の一員としての役割を発揮すべきだとしています。(これには、いわゆる薬薬連携の取組みなども含まれていると思います。
資料:医薬品適正使用に向けた薬剤師の役割〜医療安全のための薬薬連携
(ラジオNIKKEI Medical Web ibraly)
http://medical.radionikkei.jp/yyrenkei/final/pdf/080125.pdf
まず、「薬剤師がすべきことは何か」「薬剤師の職能を全うすべき」とする土屋先生の話には、開局の立場としても考えさせられ、大衆薬の販売を需要がないという理由などで軽視する一方で、必ずしも薬局の業務に必要とされている(優先される)とは思えないような分野への進出や多角化を促す、最近の風潮を厳しく問われている感があります。
関連情報:TOPICS 2008.09.04 「安心と希望の医療確保ビジョン」と薬剤師
2008年09月08日 10:44 投稿