薬剤師は、多職種との協働を模索すべきである

 6日、7日に東京で行われた日本社会薬学会第27年会(http://syayaku27.com/program.html)の続報です。今度は開局薬剤師に関するものです。

 「多職種協働のケアマネジメントに参加しよう」とのテーマで講演した、介護保険分野の第一人者の木村隆次先生はまず、薬剤師は在宅治療に関わる多職種との協働していくことが重要として、薬剤師がケアカンファレンスに関わっている尾道市の事例を紹介しています。(以下はWEB情報も一部追加しています)

 尾道地区では医師会などを中心に、認知症患者やがん患者の在宅緩和ケアなどの対応を医師・ケアマネージャーとの連携で在宅を中心とした多職種協働で対応することが以前から行われています。

医療と介護、民生委員まで加わり患者を支える「尾道方式」(がんサポート情報センターHP)
  http://www.gsic.jp/homecare/hmc_02/14/index.html

認知症早期診断プロジェクト(DDプロジェクト)の概要(尾道市医師会HP)
  http://www.onomichi-med.or.jp/oioi/oioi_24.html

尾道市医師会ケアマネジメントセンター(尾道市医師会HP)
   http://www.onomichi-med.or.jp/aged/aged_4.html

 例えば周辺症状を抑えるための薬の使用に関して、同医師会では独自に開発した「DBCシート」で、生活の中で患者が見せる行動の特徴や状態を、家族、施設の介護スタッフによるチェックを行い、これを参考に「ケアカンファレンス」等で、薬物の効果、副作用の有無を見極め、薬の種類や量を調整など、治療や介護の方針が多職種同士で共有できる仕組みを築きあげているとのことです。(おそらく薬剤師が、ケアカンファレンスでコメントを求められることになるのでしょう)

 NHK福祉ネットワーク(2007.10.2放送)
  http://www.nhk.or.jp/heart-net/fnet/info/0710/71002.html

 先生のお話だと、最近は急性期病院の退院前ケアカンファレンスについても、必ず、在宅主治医のチームの薬剤師だけではなく、病院の薬剤師の参加が義務付けられるようになったとのことで、地元薬剤師には大きな期待と責務が求められるようになっているとのことです。

 また木村先生は、本サイトTOPICS 2007.2.10で紹介した地元青森県の「まちかどセルフチェック」のとりくみ状況を紹介しいます。

 地域包括支援センター・介護予防事業担当者会議(2007年3月14日開催)
   資料11(三重県HP健康福祉部長寿社会室に掲載のものにリンクしました) 

 薬局で実施した調査によれば、「基本チェックリスト」のうつ傾向にあるかどうかのチェックにあたる後半5項目について、該当する高齢者が少なくないと指摘しています。

 講演後の懇談会で、木村先生に直接「まちかどセルフチェックは、日薬でかなり前の時点で取組みが提唱されていないのに全国に広がらないのはなぜでしょう?」と問いかけたところ、「薬剤師会レベルでまだ、広がりはないのは確かだが、逆に自治体レベルから、事業の詳細についての問合せがある」として、今後は自治体の方から私たちに協力が呼びかけられるのではないかと話されていました。

関連情報:TOPICS 2007.02.10 特定高齢者の把握に薬局を活用(青森)


2008年09月08日 15:08 投稿

コメントが2つあります

  1. アポネット 小嶋

    尾道の取り組みが、田辺三菱製薬株式会社の情報誌「ファーマスコープ 第2号 2009年1月」に掲載されています。

    多職種協働による地域医療連携の実際と薬剤師の役割
     http://di.mt-pharma.co.jp/libraries/scope/pdf/PharmaScope_Vol2_02.pdf

    掲載記事の最後の方の、尾道市医師会会長片山壽氏の『多くの薬剤師は「ファーマシューティカルケア」を実践するべく努力しているが、薬剤師以外の職種の多くはその言葉すら知らないのが現状だ。「ファーマシューティカルケア」が薬剤師の世界だけに止まらず、医師や多くの職種、患者からも理解されるようになるには、広い視野で地域医療を理解し、積極的に活動の場を広げてゆく必要がある。』という部分には、共感します。 

  2. アポネット 小嶋

    木村隆次先生が、この青森県と尾道市の事例をまとめたブックレットを発行しています。

    一読をおすすめします。

    薬ゼミブックレットシリーズNo.5
    高齢者の暮らしを支える薬剤マネジメント
    ―薬剤師は生活機能の見張り番―
     http://www.yakuzemi.ac.jp/yb/management.php