日本学術会議(http://www.scj.go.jp/)の薬学委員会専門薬剤師分科会では、日本における専門薬剤師のあり方について、求められる領域、認定のための研修・試験、認定組織などについての討議が行われていましたが、先月8月28日、専門薬剤師の社会的役割、質の確保と社会への普及について、提言「専門薬剤師の必要性と今後の発展−医療の質の向上を支えるために−」としてまとめられています。
専門薬剤師の必要性と今後の発展−医療の質の向上を支えるために−
(日本学術会議ウェブサイト、9月16日掲載)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-20-t62-12.pdf
提言では、専門薬剤師・高度専門薬剤師が行うべき業務として、
- 当該専門領域のハイリスク医薬品の適正使用・ハイリスク患者の重点管理を推進する。
- 当該専門領域の医薬品の副作用・相互作用マネージメントのための臨床検査・薬物血中濃度測定のオーダーを医師に代わって行い、必要な対応を提案する。
- 副作用の重篤化回避や治療に難渋する患者への対応について、医師との協働のもと、処方の提案や処方設計を分担する。
- 高度な医療判断に備えて医薬品情報を収集し、評価・活用する。
などの例を挙げて、「チーム医療において医師の負担を分散し安全で安心できる薬物療法を提供するために、薬物療法に関して身に付けた高度な知識・技能を活用し、薬物療法の安全性と有効性の確保に責任をもって行動しなければならない」とした他、専門薬剤師の育成は、関連学会や団体などの責務であるとして、専門薬剤師の育成と資質の保証や質の適正な確保のため、第三者機関によって保証された研修・認定の仕組みが必要なことや、専門薬剤師が社会に認知され、良質な医療提供のために専門薬剤師が活用されるよう、関係諸団体が積極的な広報活動を行うべきだとしています。
提言ではさらに、米国などの現状を示しながら、薬剤師が薬物療法に関わることによって、効果や安全の面で有益な結果をもたらすことは国内外で報告されているとして、保険薬局の薬剤師が慢性疾患安定期に、治療モニタリングを行った上で、リフィル処方せんに基づく調剤を行ったり、ワクチン接種などが認められれば、それにより医師の負担を軽減することが可能であり、また生活習慣病予防対策やセルフメディケーションの実施において大きな力となり、医療費の軽減に貢献するものとなるとしています。
関連記事:【日本学術会議分科会】専門薬剤師で提言まとめる
(薬事日報 HEADLINE NEWS 9月19日)
http://www.yakuji.co.jp/entry8063.html
9月22日リンク追加
2008年09月17日 15:05 投稿