英国ではMHRA(医薬品庁)が毎月、医薬品の安全性情報をまとめた“Drug Safety Update”(以下DSU)を発行していますが、6日発表された Volume2, Issue4では、本サイトでも紹介した最近の話題が網羅されているので、少し紹介したいと思います。(おそらく日本語訳があとででてくると思いますが)
Drug Safety Update: Volume 2, Issue 4, November 2008
(MHRA 2008.10.6)
まず、Drug safety adviceでは、バレニクリン(チャンピックス)についての安全性情報が掲載されています。英国では2008年6月の終わりまでに約450,000人がバレニクリンを使用したのに対し、2008年9月29日までに、イエローカード副作用報告システムを通じて3541件(症例は重複あり)の副作用と思われる報告があったそうです。このDSUでは内訳は記されていませんが、MHRAの、Download Drug Analysis Prints (DAPs) で8月25日までの3337件のデータの内訳をみることができました。精神神経系の副作用が最も多く(2651件)、うつ傾向・悪夢・睡眠障害・自殺の考えなどがこれに含まれます。
DSUでは、服用中の患者が自殺の考えやふるまいをしたら、すぐに服用を中止させて主治医に相談することなど、医療専門職向けのアドバイスが記されています。
一方、Hot Topics のページでは、本サイトでも紹介したエゼチニブ(ゼチーア)とがんリスクに関する論文の解説が、また、Stop Press のページでは、、Acomplia(rimonabant)の欧州での承認一時停止、チオトロピウム(スピリーバ)による心臓病リスク、アセトアミノフェンによる喘息リスクなど、本サイトでも紹介した最近の話題についての解説やMHRAの見解が示されています。
日本でも海外の研究について、こういった形での医療関係者向けの情報提供がされれば、とても参考になると思うのですが、できないのでしょうか?
関連情報:TOPICS
2008.09.23 SEAS trial の解析公表もがんリスクは証明されていないとの見解
2008.10.23 バレニクリンと有害事象(米国)
2008.10.24 抗肥満薬Rimonabant、欧州での販売中止へ
2008.09.24 抗コリン作用吸入薬と心臓血管病リスク
2008.09.20 アセトアミノフェンと喘息リスク
2008.02.19 イエローカードオンライン副作用報告システムが本稼動(英国)
2008年11月07日 01:45 投稿