認知症(dementia)予防に効果があると言われているイチョウ葉エキスですが、これを裏付けるために行われた大規模試験の結果が19日付のJAMAで公表されています。
Ginkgo biloba for Prevention of Dementia: A Randomized Controlled Trial
(JAMA 2008 300(19): 2253-2262.)
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/abstract/300/19/2253
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/full/300/19/2253
Ginkgo Evaluation of Memory (GEM) Study Fails To Show Benefit in Preventing Dementia in the Elderly(NIH NEWS 2008.11.18)
http://www.nih.gov/news/health/nov2008/nccam-18.htm
この試験は、75歳以上(平均79.1歳)の認知症でない高齢者を対象に、国立保健研究機構(NIH:the National Institutes of Health)や国立補完・代替医療センター(NCCAM:the National Center for Complementary and Alternative Medicine)などの協力を得て行われた”The Ginkgo Evaluation of Memory (GEM) Study”という二重盲検ランダム化比較試験で、その結果がかねてより注目されていました。
試験では、ワルファリン・メマンチン・ビタミンE(400IU以上)など試験に影響を与えると思われる薬剤を服用していない高齢者3069人(うち482人は軽度の認知障害あり)を、イチョウ葉エキス120mgの錠剤(米国で最も売れているEGb 761:Schwabe、ドイツKarlsruhe社)を1日2回服用する群(1545人)とプラゼボ群(1524人)に分けて、6ヶ月ごとに平均6.1年間追跡調査をしたもので、服用群では277人がまたプラゼボ群では246人が認知症になったそうです。
認知症の内訳は92%がアルツハイマー型で、アルツハイマー型認知症の発症率は服用群で100人につき3.0人、プラセボ群で2.6人に、また全ての認知症の発症率は服用群で100人につき3.3人、プラセボ群で2.9人となり服用群の方がむしろ若干高いとした結果となりましたが、統計学的有意差はなかったそうです。
また、有害事象の発症は、出血性発作が服用群で多くみられました(有意差なし)が、出血などのその他の有害事象の発症数は投与群・プラセボ群とほぼ同じで、有意差は認められなかったそうです。
つまり、認知症予防に高齢者がイチョウ葉エキスの服用することについては、エビデンスが示されなかったということとなり、今後これらサプリメントの服用(摂取)の是非について議論を呼びそうです。
関連情報:TOPICS 2008.02.29 高齢者へのイチョウエキスの有益性
参考:Ginkgo No Shield Against Alzheimer’s(HealthDay 2008.11.18)
http://www.healthday.com/printer.asp?AID=621496
Forget Ginkgo Supplements for Dementia Prevention
(Medpage TODAY 2008.11.18)
http://www.medpagetoday.com/Neurology/AlzheimersDisease/11832
2008年11月19日 13:57 投稿