最近の国内外の副作用等の報告状況

 11月27日、薬事・食品衛生審議会の平成20年度第3回医薬品等安全対策部会が開催され、今年4月1日から9月30日までに厚労省に報告のあった医薬品の副作用報告についての集計結果が公表されています。

 このデータは、医薬品との因果関係が不明なものを含め製造販売業者等から報告されたものをもとに作成されていますが、同一症例に複数の被疑薬が存在し、該当する症例が複数の企業からそれぞれ報告された場合は重複してカウントされているために、ここに示した報告件数がそのまま症例数にはならないそうです。また厚労省では、個別に医薬品との関連性を評価したものではないとしています。

平成20年度第3回薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会(2008年11月27日開催)
 WAMNET資料 (12月1日掲載、以下のリンクはこちらから)  厚労省資料(12月4日掲載)

 資料3-2によれば、この間に5件以上の報告のあった医療用医薬品成分は下記のとおりです。(薬効分類コード421-430、625の一部、631以降は除く)

分類 医薬品名 副作用名(数字は件数)
111 プロポフォール 横紋筋融解5
112 フェノバルビタール 薬疹7、スティーブンス・ジョンソン症候群5、好酸球増加と全身症状を伴う薬疹5
113 フェニトイン スティーブンス・ジョンソン症候群6、無顆粒球症5
113 カルバマゼピン 好酸球増加と全身症状を伴う薬疹35、薬疹11、スティーブンス・ジョンソン症候群9、発熱8、多形紅斑7、血小板数減少6
113 ゾニサミド 好酸球増加と全身症状を伴う薬疹6
114 アセトアミノフェン 中毒性表皮壊死融解症5
114 ジクロフェナクナトリウム 胃潰瘍6、肝障害5
114 ロキソプロフェンナトリウム 急性腎不全7、肝機能異常7、肝障害6、中毒性表皮壊死融解症6、アナフィラキシーショック5
114 セレコキシブ 薬疹9、多形紅斑7、脳梗塞5、全身性皮疹5
114 ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液 悪心10、嘔吐10、アナフィラキシー様ショック10
116 塩酸アマンタジン 幻覚5
116 塩酸プラミペキソール水和物 突発的睡眠7、交通事故5
116 塩酸ロピニロール 突発的睡眠5
117 炭酸リチウム 治療薬毒性6
117 ハロペリドール 悪性症候群5
117 塩酸パロキセチン水和物 抗利尿ホルモン不適合分泌11、セロトニン症候群9、自殺企図5、流産5、肝機能異常5
117 フマル酸クエチアピン 悪性症候群5
117 オランザピン 悪性症候群5
117 アリピプラゾール 悪性症候群10、妄想5
117 塩酸セルトラリン 自殺企遂5、セロトニン症候群5
117 プロナンセリン 悪性症候群7
117 ハロペリドール 悪性症候群5
119 塩酸ドネペジル 徐脈6
119 エダラボン 腎機能障害5
121 塩酸ロピバカイン水和物 痙攣5
122 臭化ロクロニウム 神経筋ブロック遷延5
123 臭化ジスチグミン コリン作動性症候群7
131 ベルテポルフィン 網膜下線維症7
212 塩酸カルテオロール 低血糖症6
212 塩酸メキシレチン 好酸球増加と全身症状を伴う薬疹9
212 塩酸アプリンジン 間質性肺疾患5
212 コハク酸シベンゾリン 低血糖症13
212 塩酸ピルジカイニド 心室性頻脈6、心室細動6
213 塩酸アミオダロン 間質性肺疾患19、甲状腺機能亢進症8 /
血圧低下5、肝機能異常5 
213 塩酸ペプリジル トルサード ド ポアン10、心電図QT延長9、心室細動9、心室性頻脈8
213 スピロノラクトン 高カリウム血症5
213 フロセミド 難聴5
214 バルサルタン 肝機能異常6、血管浮腫5
214 テルミサルタン 脳梗塞10
214 ロサルタンカリウム・ヒドロクロロチアジド 光線過敏性反応22、低ナトリウム血症17、血中クレアチンホスホキナーゼ増加6
218 ベザフィブラート 横紋筋融解9
218 プラバスタチンナトリウム 横紋筋融解6
218 フルバスタチンナトリウム 肝機能異常15、肝障害12
218 アトルバスタチン水和物 横紋筋融解16、血中クレアチンホスホキナーゼ増加7
218 タバスタテンカルシウム 横紋筋融解5
218 ロスバスタチンナトリウム 横紋筋融解11、血中クレアチンホスホキナーゼ増加11、肝機能異常5
218 エゼチミブ 血中クレアチンホスホキナーゼ増加6
232 ファモチジン 肝機能異常7、肝障害6
232 スルピリド 悪性症候群5
232 レバミピド 肝障害5
232 ランソプラゾール 無顆粒球症6、膠原性大腸炎5
234 酸化マグネシウム 高マグネシウム血症8
239 インフリキシマブ(遺伝子組換え) 肺炎14、ニューモシスティスジロヴェシ肺炎13、間質性肺疾患7、帯状疱疹7
241 ソマトロピン(遺伝子組換え) 側弯症8
241 オキシトキシン 子宮破裂6
243 チアマゾール 無顆粒球症34、扁桃炎6
243 プロピルチオウラシル 抗好中球細胞質抗体陽性血管炎12、無顆粒球症6
245 プレドニゾロン 骨壊死10、糖尿病5、気管支肺アスペルギルス症5、感染性脊椎炎5
249 ヒトインスリン(遺伝子組換え) 低血糖症14、低血糖昏睡9
249 インスリン リスプロ(遺伝子組換え 低血糖症6
249 インスリン アスパルト(遺伝子組換え) 低血糖症6
249 インスリン グラルギン(遺伝子組換え) 低血糖症17
249 インスリン デテミル(遺伝子組換え) 低血糖症5、低血糖昏睡5、低血糖性意識消失5
249 酢酸リュープロレリン 間質性肺疾患7
259 コハク酸ソリフェナシン 尿閉5
259 塩酸リトドイン 肝機能異常7
333 ワルファリンカリウム 鼻出血11
333 ヘパリンナトリウム ヘパリン起因性血小板減少症42
333 フォンダパリヌクスナトリウム 処置後処置後出血21、皮下出血8
339 塩酸チクロピジン 胆汁うっ滞12、肝障害9、血栓性血小板減少性紫斑病7
339 アスピリン 脳出血7、貧血6、出血性胃潰瘍6、小腸出血5
339 硫酸クロピドグレル 肝細胞損傷17、間質性肺疾患14、無顆粒球症8、出血性胃潰瘍6、脳出血5、多形紅斑5、混合型肝損傷6
392 デフェラシロクス 全身性皮疹11
392 レポホリナートカルシウム 食欲不振8、悪心7、アナフィラキシー様反応5、発熱性好中球減少症5、嘔吐5
394 アロプリノール 好酸球増加と全身症状を伴う薬疹14、スティーブンス・ジョンソン症候群10
395 アルテプラーゼ(遺伝子組換え) 出血性脳梗塞26、脳出血11
396 グリベンクラミド 低血糖症10
396 グリクラジド 低血糖症7
396 グリメピリド 低血糖症16、低血糖昏睡6
396 塩酸メトフォルミン 乳酸アシドーシス7
396 アカルボース 肝障害6
396 ボグリボース 腸壁気腫症5
399 シクロスポリン サイトメガロウイルス感染12、腎機能障害8、肝機能異常8、高血圧7、気管支肺アスペルギルス症6、肺炎6、間質性肺疾患5、血栓性微小血管症5、ニューモシスティスジロヴェシ肺炎5
399 アザチオプリン 白血球数減少8、汎血球減少症7
399 タクロリムス水和物 ニューモシスティスジロヴェシ肺炎6、肺炎6、細菌性肺炎5
399 メトトレキサート 間質性肺疾患35、汎血球減少症24、ニューモシスティスジロヴェシ肺炎21、リンパ増殖性障害10、血小板数減少6、白血球数減少6、ぴまん性大細胞型B細胞性リンパ腫6、リンパ種5、肺炎5
399 ミコフェノール酸モフェチル サイトメガロウイルス感染13、ポリオーマウイルス関連腎症6
399 アレンドロン酸水和物 骨壊死24、骨髄炎20、肝機能異常5
399 リセドロン酸ナトリウム水和物 骨髄炎7、骨壊死6
399 塩酸ラロキシフェン 深部静脈血栓症6
399 メシル酸ナファモスタット アナフィラキシーショック27、ショック19、血圧低下12
399 エポエチンβ シャント閉塞6
399 タクロリムス水和物 ニューモシスティスジロヴェシ肺炎10、敗血症7、肺炎6
399 ゾレドロン酸水和物 骨壊死37、骨髄炎15、低カルシウム血症9
399 エタネルセプト(遺伝子組換え) 肺炎16、間質性肺疾患12、ニューモシスティスジロヴェシ肺炎5
399 ダルベポエチン アルファ(遺伝子組換え) 脳出血6、脳梗塞6
442 ブシラミン 間質性肺疾患8
449 プランルカスト水和物 アレルギー性肉芽腫性血管炎5
449 モンテルカストナトリウム アレルギー性肉芽腫性血管炎5
520 芍薬甘草湯 低カリウム血症8
611 硫酸バンコマイシン 薬疹6
611 テイコプラニン 血小板数減少5、発熱5
613 アモキシシリン 多形紅斑7、薬疹5
613 ピペラシリンナトリウム アナフィラキシーショック5、薬疹5
613 セファクロル アナフィラキシーショック5
613 セフジトレンピボキシル 肝機能異常5
613 セファゾリンナトリウム 発熱8、アナフィラキシーショック5
613 セフメタゾールナトリウム アナフィラキシーショック5
613 セフトリアキソンナトリウム アナフィラキシーショック7、胆石症5
613 スルバクタムナトリウム・セフォペラゾンナトリウム アナフィラキシーショック19、アナフィラキシー反応5
614 クラリスロマイシン 多形紅斑5、スティーブンス・ジョンソン症候群5
617 アムホリテシンB 低カリウム血症20
619 ランソプラゾール・アモキシシリン・クラリスロマイシン 多形紅斑6
621 サラゾスルファピリジン 好酸球増加と全身症状を伴う薬疹11、発熱6
624 レボフロキサシン 肝障害8、薬疹6
624 ガチフロキサシン水和物 低血糖症8
624 塩酸モキシフロキサシン アナフィラキシーショック5
624 メシル酸ガレノキサシン水和物 薬疹9、呼吸困難7
624 リネゾリド 血小板数減少19、貧血5
625 塩酸バラシクロビル 急性腎不全31、意識変容状態15、脳症12、浮動性めまい6
625 リン酸オセルタミビル 異常行動19
625 リバビリン ヘモグロビン減少19、間質性肺疾患15、好中球数減少11
625 ザナミビル水和物 異常行動9
629 イトラコナゾール 肝機能異常9、多形紅斑5
629 塩酸テルビナフィン 肝障害25、肝機能異常21、多形紅斑8、アスパラギン酸アミノトランスフエラーゼ増加7、アラニン・アミノトランスフエラーゼ増加6、肝炎5、肝機能検査異常5、横紋筋融解5

 資料3-2:国内副作用報告の状況(医療用医薬品)[PDF:5.3MB]より引用

 報告の多い成分はほぼ去年と同じですが、最近承認された「セレコキシブ」「プロナンセリン」「ロサルタンカリウム・ヒドロクロロチアジド」などの報告が新たに目立った一方、使用制限がされた「塩酸メチルフェニデート」などの報告は目立たなくなった感があります。

 一方、一般用医薬品についての副作用報告は、第1類薬が40件、第2類薬が60件、第3類薬が10数件の合計126件(リスク分類ごとは会議で事務局が質問に答える)で、来年度以降はリスク分類別にして報告されるとのことです。。

 資料3-3:国内副作用報告の状況(一般用医薬品)[PDF:486KB]

 詳細については、医薬品医療機器総合機構HP(http://www.info.pmda.go.jp/)の「副作用が疑われる症例報告に関する情報」のページでの検索も可能です。(以下同機構サイトへリンク)

 副作用が疑われる症例報告に関する情報について(平成16年度以降の報告)
 副作用が疑われる症例報告の活用方法について(PDFファイル)

 一方、今回の部会では、海外における添付文書の変更や当局の発表をまとめたものをあわせて発表しています。今後はこれらの知見を踏まえ、添付文書の改訂が行われるものと思います。やはり代表的な重篤な副作用は、患者さんに伝えることが必要だと改めて感じさせられます。

 資料3-5:外国における新たな措置の報告状況[PDF:6.6MB]

 関連情報: TOPICS
     2008.08.01 最近の国内外の副作用等の報告状況
     2007.07.18 最近の国内外の副作用等の報告状況

 参考:【厚労省】一般薬リスク分類を見直し‐酸化マグネシウムが第2類
     (薬事日報 HEADLINE NEWS 12月2日)
       http://www.yakuji.co.jp/entry8632.html


2008年12月03日 18:13 投稿

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