新型インフルエンザ対策の報道が優先し、すっかりメディアがとりあげなくなってしまったタミフルの副作用問題ですが、今年7月に公表された厚労省の検討班が行った疫学調査で「オセルタミビル使用と異常行動発現の間に、正の関連を検出するには至らなかった。」とする解析結果が示されたことから、当時の各紙は「10代の使用制限は見直しも」といった見出しが踊り、また10代でも処方が可能となるのかどうか注目していました。
第7回リン酸オセルタミビルの臨床的調査検討のためのワーキンググループ(臨床WG)
(2008年7月10日開催)
資料:http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/07/s0710-6.html
インフルエンザ随伴症状の発現状況に関する調査研究(同上、資料1)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/07/dl/s0710-6ak.pdf
ところがその後、毎日新聞(記事はWEB上では削除)などに、専門家などから解析方法がおかしいとした意見が寄せられ、その信頼性について疑問の声が多く示されました。
『タミフルその後』(医薬品情報21 2008.8.8)
http://www.drugsinfo.jp/2008/11/28-222929
タミフルの使用禁止措置に関する意見書提出
(薬害オンブズパースン会議 2008年9月12日)
http://www.yakugai.gr.jp/topics/topic.php?id=618
そして、日経BPなどで既報の通り、12月4日に都内で開かれた日本臨床薬理学会年会のシンポジウムで、この研究班の解析結果について議論が行われ、「廣田班の解析手法には問題があり、生データを公開すべき」という意見で一致したそうです。つまり、「10代への使用は安全である」ということは、現時点でははっきりしていないということになります。(全国紙では、このことはほとんど伝えられていません)
厚労省(廣田班)の解析は誤り〜日本臨床薬理学会シンポジウムでコンセンサス
(『薬のチェックは命のチェック』インターネット速報版No116)
http://npojip.org/sokuho/081208.html
日本臨床薬理学会「インフルエンザ罹患後の異常行動をめぐって」 (廣田班の報告は間違いだという学会のコンセンサス)(リヴァイアさん、日々のわざ 2008.12.5)
http://ttchopper.blog.ocn.ne.jp/leviathan/2008/12/post_7609.html
さすがにここまでくると、厚労省も「10代の使用制限の見直し」を打ち出すことが難しくなったのか、29日の共同通信は、「使用を解禁すべきかどうかの判断を先送りし、少なくとも今冬は中止措置を継続する方針を決めた」との記事を配信し、今シーズンのタミフルの10代への使用制限の見直しは行わないことになったそうです。
タミフル、今冬も使用中止継続 厚労省、10代患者へ
(47NEWS 12月29日 共同通信配信)
http://www.47news.jp/CN/200812/CN2008122901000399.html
受験生を抱える保護者にとっては、悩ましいところでしょう。
参考:
産経新聞7月10日
http://sankei.jp.msn.com/life/body/080710/bdy0807102145001-n1.htm
読売新聞7月11日
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20080711-OYT8T00278.htm
2008年12月29日 23:37 投稿
いつになったらすっきりとするのでしょうかねえ・・・
http://hello.ap.teacup.com/d-inf/1680.html