英国薬剤師会、タムスロシンのスイッチ支持も課題は少なくない

 2008.11.28 の TOPICS で紹介しましたが、現在英国ではMHRA(医薬品庁)によりタムスロシン塩酸塩0.4mgカプセル(英国商品名:FLOMAX、本邦販売名:ハルナール他)のOTCへのスイッチの検討が開始されています。

 去る1月15日まで、この件についての public consultation(日本のパブリック・コメントに該当)が行われていますが、英国王立薬剤師会ではこのほどMHRAに提出した同会の意見を公表しました。

 薬剤師会ではスイッチについては支持を表明したものの、下記のような問題点を指摘してます。

  • 適応を45歳以上としているが、年齢の上限は設けないのか
  • 10週間までの使用が可能とされる、確定診断前までの購入に対して、28カプセル入パッケージだけでは十分でない
  • エビエンスとして示された論文は、英国在住の南アジア系の男性を対象としたもので、英国人男性全体のエビデンスが示されたわけではない
  • 今回示された販売の流れだと、複数の薬局を利用することにより、10週間を超えての購入が可能となってしまい、正しい診断を遅らせたり、濫用される可能性がある
  • 現時点では、販売指針(RPSGB practice guidance tool for OTC tamsulosin)は策定はされていない、また抗ヒスタミン剤による副作用なども考慮される必要がある
  • 顕微鏡的血尿を薬剤師がどのようにチェックするのか示して欲しい
  • 継続的なケアの必要性やGPへの紹介を考えれば、患者に薬局を一つに指定(特定)してもらうことも必要ではないか

Re: ARM 56 – Request to reclassify tamsulosin (Flomax Relief) from POM to P
(Royal Pharmaceutical Society of Great Britain 2009.1.12)
  http://www.rpsgb.org/pdfs/consdoc1729.pdf

 英国薬剤師会としては、こういった生活改善薬のようなものはアクセスのしやすさが必要としながらも、医療との連続性を考えれば、一薬局での購入=かかりつけ薬局を持つことが必要と考えているのかもしれません。

関連情報:TOPICS
   2009.01.17 処方せん医薬品スイッチに対する英国医師の本音
   2008.11.28 タムスロシンのOTC化を検討(英国)

参考:Society backs tamsulosin switch but has concerns
      (The Pharmaceutical Journal 2009;282:64)
  http://www.pjonline.com/news/society_backs_tamsulosin_switch_but_has_concerns
       (一定期間を過ぎるとログインが必要です)


2009年01月22日 16:23 投稿

Comments are closed.