TOPICS 2008.9.16、TOPICS 2006.04.07 などで紹介した、「後発医薬品情報の通知」(先発医薬品から後発品に切り替えた場合の窓口負担軽減効果を通知)の取り組みですが、20日行われた、全国厚生労働関係部局長会議で、国民健康保険における後発品の普及促進策として、市町村国保が活用することを求めたようです。
後発品による自己負担減額幅‐「患者へ通知」が努力義務に
(薬事日報 HEADLINE NEWS 1月22日)
http://www.yakuji.co.jp/entry8978.html
全国厚生労働関係部局長会議(2009年1月20日開催)
資料【保険局】(WAM NET 2009年1月22日掲載)
当日配布された資料(上記より抜粋)によれば、「医療費適正化」関係ととして、市町村国保に対し、下記のような対応を求めています。
(1)後発医薬品の活用促進
全保険者において被保険者への「後発医薬品お願いカード」の配布等に取り組むとともに、高医療費である指定市町村の運営安定化措置の内容として「後発医薬品に切り替えた場合の自己負担の差額のお知らせ」等、利用勧奨に努めることを規定。
都道府県においても、特長ある取組については、都道府県調整交付金での積極的な支援も検討されたい。(以下略)
業界紙によれば、この通知の実施は努力義務ですが、厚労省から国保運営安定化計画の作成を求められた市町村(医療給付費が全国平均を超えた指定市町村)については、安定化計画に「使用促進に係る具体的取り組みを明記すること」とするなど、積極的な活用(事実上の強制?)を求めたようです。
既に皆さんも実物を目にしたことがあると思いますが、下記の例のように「薬剤師に相談して下さい」といった文言があり、今後、通知書の内容について薬局や病院・医院の現場で説明をする時間が割かれることは必至です。
「ジェネリック医薬品促進通知サービス」が始まりました(呉市ウェブサイト)
http://www.city.kure.hiroshima.jp/kuredoc/topics080916_0201.pdf
また、実際の通知はおそらくほとんどの自治体では外部の事業所に業務を委託されるでしょうから、当然、国保財政からかなりの支出が必要となるでしょう。通知自体を否定するものではありませんが、関連業者だけが潤うおうような気がしてなりません。
なお、後発医薬品の普及促進策の実施に努める要請は、1月20日付けの厚生労働省保険局国民健康保険課課長の通知でも示されています。
「国民健康保険における後発医薬品(ジェネリック医薬品)の普及促進について」
(平成21年1月20日保険局国民健康保険課長)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryou/kouhatu-iyaku/dl/21.pdf
この通知ではこの他に、後発医薬品安心使用促進のための協議会への積極的に参加や、国保直営診療施設においても後発医薬品の普及促進に配慮することも求めています。
関連情報:TOPICS
2008.12.20 後発医薬品の使用促進で230億円の節約可能?
2008.09.16 呉市の後発医薬品情報の通知に全国が注目
2006.04.07 『ジェネリック医薬品促進通知書』提供サービス
参考:日刊薬業HEADLINE NEWS 1月23日
2月5日 22:40更新
2009年01月23日 14:29 投稿
厚労省は1月30日、安定化計画の作成指針を定めることを求める自治体名を公表しています。
国民健康保険法第68条の2第1項の規定に基づく平成21年度の指定市町村の指定について
(厚労省1月30日発表)
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/01/h0130-7.html
内訳は、北海道が23と最も多く、次いで、福岡県18、徳島県11など、九州や四国が目立っています。
上記で紹介した呉市も含まれていますね。また、福岡県が県を挙げて後発医薬品を推進している理由もうなずけます。
関連情報:TOPICS 2008.02.26 後発医薬品使用促進協議会の設置進まず?
5月20日、全国健康保険協会(協会健保)も7月より広島支部で加入者に対し通知の取り組みを開始すると発表しました。
協会けんぽにおけるジェネリック医薬品の使用促進のための取組み
(2009年5月20日 協会けんぽ)
http://www.kyoukaikenpo.or.jp/news/detail.1.17967.html
広島での成果も踏まえ、今後、全国的に通知を順次実施していくことを予定しているとしています。