受動喫煙防止には公共の場での全面禁煙が必要（厚労省検討会）

　受動喫煙の防止策を議論してきた、厚労省の受動喫煙防止対策のあり方に関する検討会は4日、第6回会合を開催し、飲食店や屋外の公園などを含む、多くの人が利用する公共的な空間を、原則として全面禁煙にするべきとした検討会としての報告書（案）を大筋で合意したそうです。

第６回受動喫煙防止対策のあり方に関する検討会（2009年3月4日開催）
　　WAMNET資料（3月6日掲載）

受動喫煙防止対策のあり方に関する検討会の報告書について
　　(厚労省2009年3月24日)
　　　http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/03/h0324-5.html
　　　http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/03/s0324-7.html

　受動喫煙の防止策については、神奈川県が公共の場での全面禁煙を目指し、現在条例づくりがすすめられていますが、今回の報告書でも、学校や公園、飲食店などの公共の空間については「原則として全面禁煙」とすることが盛り込まています。

　しかしながら、神奈川県での議論と同様に全面禁煙については、飲食店や旅館などの業界団体から反対論が強かったことから、中小規模事業所については暫定的な分煙を認め、「喫煙席や禁煙席の割合の表示や、喫煙場所をわかりやすく表示する等の措置を講ずることにより、意図せずしてたばこの煙に曝露されることから人々を保護することを求める」とした表現にとどめています。

　一方、私たちに関連が深い項目としては、次のような点が盛り込まれています。

• 受動喫煙防止対策の推進に当たり、ニコチン代替製剤や内服薬等の禁煙補助薬等、禁煙希望者が安くかつ楽に禁煙する方法等の禁煙を促す情報等についても発信する必要がある。特に薬局にて禁煙補助薬が入手可能になったことを広く周知する必要がある。また、「残留たばこ煙成分」等の新しい概念や煙の出ないいわゆる「無煙たばこ」等の新しいたばこ関連製品に関する健康影響についての情報提供も重要である。
  （近年衣服や室内に付着した煙の成分が時間をかけて放出されるという、「サードハンドスモーク」の害も明らかになっている）
• たばこの健康への悪影響について普及啓発し、禁煙を促す方法等について、健康教育の一環として、地域、職域、学校、家庭等において、関係者の対話と連携のもとで一層推進する。特に健康被害を受けやすい乳幼児の家庭内受動喫煙防止のために、妊婦健診や両親教室など様々な機会を捉えて、禁煙とその継続を図るよう啓発する。
  （両親教室など様々な機会を捉えて、禁煙とその継続を図るよう啓発する。 幼児の家庭内受動喫煙防止のために、妊婦健診や両親教室などさまざまな機会をとらえて、母親（妊婦）と父親の禁煙とその継続を図る努力をすることも必要）
• 保健医療従事者は、専門領域や本人の喫煙状況等にかかわらず、たばこの健康影響について正確な知識を得て健康教育、特に禁煙教育、喫煙防止教育にこれまで以上に積極的に携わっていく責務があることを自覚する必要がある。
  （看護職の喫煙煙率が高いので、普及啓発、禁煙教育が必要）

　今回の報告書を受け、厚労省ではこ今月中にも、病院や公共交通機関など全面禁煙とすべき施設をとりまとめ、全都道府県に通知するとともに、2009年度以降には、この方針に基づいた、都道府県などに防止策の実施などの通知も行われる見通しです。

　今後は、東京都港区（TOPICS　2009.02.23）のような取り組みが広がっていくかもしれませんね。

関連情報：TOPICS
　2009.02.23　地元薬剤師会と連携した禁煙相談の取り組み（東京都港区）
　2008.09.22　電子たばこは有効なニコチン置換療法として検証されていない（WHO）
　2008.09.09　神奈川県の禁煙条例は大きく後退
　2008.07.01　公共の場を禁煙にすることによる成果（英国）
　2008.03.05　日本学術会議、たばこ規制強化に７項目の提言
　2008.02.21　無煙たばこは習慣性があり、健康に有害（EU）

参考：
飲食店や公園、原則全面禁煙に 受動喫煙で厚労省検討会
（47NEWS 3月4日 共同通信配信）
　http://www.47news.jp/CN/200903/CN2009030401000546.html
時事通信 3月4日
　http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2009030400572
読売新聞 3月4日
　http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090304-OYT1T01099.htm

3月26日リンク追加

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2009年03月07日 15:48 投稿