最近の国内外の副作用等の報告状況

 5月8日、薬事・食品衛生審議会の平成21年度第1回医薬品等安全対策部会が開催され、去年10月1日から今年の2月28日までに厚労省に報告のあった医薬品の副作用報告についての集計結果が公表されています。

 このデータは、医薬品との因果関係が不明なものを含め製造販売業者等から報告されたものをもとに作成されていますが、同一症例に複数の被疑薬が存在し、該当する症例が複数の企業からそれぞれ報告された場合は重複してカウントされているために、ここに示した報告件数がそのまま症例数にはならないそうです。また厚労省では、個別に医薬品との関連性を評価したものではないとしています。

平成21年度第3回薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会(2009年5月8日開催)
 WAMNET資料 (5月12日掲載)  厚労省資料(5月14日掲載、以下のリンクはこちら) 議事録(6月25日掲載)

 資料3-2によれば、この間に5件以上の報告のあった医療用医薬品成分は下記のとおりです。(薬効分類コード421-430、625の一部、631以降は除く)

分類 医薬品名 副作用名(数字は件数)
111 プロポフォール アナフィラキシーショック6、麻酔からの覚醒遅延5
112 ミダゾラム 舌根沈下9
112 フェノバルビタール 好酸球増加と全身症状を伴う薬疹8
113 カルバマゼピン 好酸球増加と全身症状を伴う薬疹32、薬疹15、スティーブンス・ジョンソン症候群14、肝機能異常9、発熱9、肝障害6、中毒性表皮壊死融解症6、多形紅斑5、全身性皮疹5
113 ゾニサミド 中毒性表皮壊死融解症6、好酸球増加と全身症状を伴う薬疹6
113 カバベンチン 傾眠8
113 ラモトギリン 発疹5
114 ジクロフェナクナトリウム アナフィラキシーショック7、大腸穿孔7、肝機能異常6、小腸潰瘍6、血圧低下6、中毒性表皮壊死融解症5
114 ロキソプロフェンナトリウム スティーブンス・ジョンソン症候群8、肝障害8、問質性肺疾患5
114 セレコキシブ 心筋梗塞6
117 炭酸リチウム 治療薬毒性10
117 リスペリドン 悪性症候群5
117 塩酸パロキセチン水和物 抗利尿ホルモン不適合分泌9、悪心5、自殺企図5
117 オランザピン 悪性症候群5
117 アリピプラゾール 悪性症候群10、妄想7、激越5
117 プロナンセリン 悪性症候群6
119 エダラボン 急性腎不全5
121 塩酸ロピバカイン水和物 痙攣7
122 A型ボツリヌス毒素 嚥下障害5
122 臭化ロクロニウム 神経筋ブロック遷延5
123 臭化ジスチグミン コリン作動性症候群9
131 ベルテポルフィン 網膜血管障害10、視力低下5
212 塩酸ランジオール 血圧低下12
212 コハク酸シベンゾリン 低血糖症12
213 塩酸アミオダロン 問質性肺疾患26、甲状腺機能亢進症8
213 塩酸ペプリジル トルサードドポアン9、心電図QT延長8、心室細動6
213 スピロノラクトン 高カリウム血症10
213 フロセミド 低カリウム血症6
214 マレイン酸エナラプリル 高カリウム血症6
214 カンデサルタンシレキセチル 心不全6、問質性肺疾患5
214 バルサルタン 高カリウム血症17、死亡8、低血糖症8、血圧低下8、血中ブドウ糖増加7、血中カリウム増加7、血圧上昇7、肝障害6、血中クレアチンホスホキナーゼ増加6、血中クレアチニン増加6、血管浮腫5、血中尿素増加5、腎不全5
214 テルミサルタン 肝障害5
214 ロサルタンカリウム・ヒドロクロロチアジド 低ナトリウム血症7
217 ニコランジル 血圧低下6
218 ベザフィブラート 横紋筋融解5
218 プラバスタチンナトリウム 横紋筋融解5
218 フルバスタチンナトリウム 肝機能異常15、肝障害8、血中クレアチンホスホキナーゼ増加5
218 アトルバスタチン水和物 血中クレアチンホスホキナーゼ増加8、横紋筋融解7、肝障害5
218 ピタバスタテンカルシウム 横紋筋融解5
218 ロスバスタチンナトリウム 肝機能異常10、血中クレアチンホスホキナーゼ増加5
218 エゼチミブ 横紋筋融解5
223 カルボシステイン 薬疹7
225 シナホ酸サルメテロール 喘息5
232 ファモチジン 肝障害8
232 ランソプラゾール 膠原性大腸炎10
234 酸化マグネシウム 高マグネシウム血症5
239 インフリキシマブ(遺伝子組換え) 肺炎12、ニューモシステイスジロヴェシ肺炎11、問質性肺疾患7、注入に伴う反応5
241 フォリトロピン ベータ(遺伝子組換え) 卵巣過剰刺激症候群5
243 チアマゾール 無顆粒球症23
243 プロピルチオウラシル 抗好中球細胞質抗体陽性血管炎8
245 プレドニゾロン 骨壊死12、サイトメガロウイルスニューモシステイスジロヴェシ肺炎感染8、大腸穿孔6、気管支肺アスペルギルス症5
249 ヒトインスリン(遺伝子組換え) 低血糖症12
249 インスリン アスパルト(遺伝子組換え) 低血糖症15、低血糖昏睡6、抗インスリン抗体陽性6
249 インスリン グラルギン(遺伝子組換え) 低血糖症17、低血糖性意識消失5
249 インスリン デテミル(遺伝子組換え) 低血糖症8
249 ジエノゲスト 不正子宮出血8
249 酢酸リュープロレリン 問質性肺疾患5
254 レポノルゲストレル・エチニルエストラジオール 肺塞栓症5
332 ゼラチン 疼痛25、不妊症11
332 硫酸プロタミン アナフィラキシーショック6
333 ワルファリンカリウム 脳出血9、胃腸出血9、筋肉内出血7、INR増加6、薬物相互作用5
333 ヘパリンナトリウム ヘパリン起因性血小板減少症49、深部静脈血栓症6
333 エノキサパリンナトリウム 肝損傷7
333 フォンダパリヌクスナトリウム 処置後出血21、ヘモグロビン減少8、処置後血腫5
339 塩酸チクロピジン 肝障害5、特発性血小板減少性紫斑病5
339 シロスタゾール 脳出血6
339 アスピリン 胃腸出血5、脳梗塞5
339 硫酸クロピドグレル 胆汁うっ滞11、肝細胞損傷10、問質性肺疾患10、急性心筋梗塞7、無顆粒球症7、血小板減少症5
391 グリチルリチン・DL−メチオニン配合剤 偽アルドステロン症9
392 デフェラシロクス 全身性皮疹8、発熱5
392 レポホリナートカルシウム 食欲不振9、嘔吐6、悪心5
394 アロプリノール 好酸球増加と全身症状を伴う薬疹25、スティーブンス・ジョンソン症候群23、中毒性表皮壊死融解症9、薬疹7
394 ベンズブロマロン 肝障害8
395 アルテプラーゼ(遺伝子組換え) 出血性脳梗塞12、脳出血7
396 グリメピリド 低血糖7
396 塩酸ピオグリタゾン 心不全9
399 シクロスポリン サイトメガロウイルス感染18、可逆性後白質脳症症候群 15 他多数
399 アザチオプリン 白血球数減少8
399 タクロリムス水和物 ヘルペス脳炎12、血栓性微小血管症10 他多数
399 メトトレキサート 問質性肺疾患32、ニューモシステイスジロヴェシ肺炎21、汎血球減少症19、肺炎12 他多数
399 ミコフェノール酸モフェチル サイトメガロウイルス感染14、腎孟腎炎6
399 アレンドロン酸水和物 骨壊死21、骨髄炎15
399 リセドロン酸ナトリウム水和物 骨髄炎8、骨壊死7
399 塩酸ラロキシフェン 深部静脈血栓症5
399 メシル酸ナファモスタット アナフィラキシーショック22、ショック8、血圧低下5
399 ゾレドロン酸水和物 骨壊死34、低カルシウム血症14、骨髄炎9、発熱5、悪性新生物進行5
399 エタネルセプト(遺伝子組換え) 肺炎16、間質性肺疾患15、発熱7、非定型マイコバクテリア感染5
399 ダルベポエチン アルファ(遺伝子組換え) 高血圧5
399 アダリムマブ(遺伝子組換え) 肺炎8
442 ブシラミン 問質性肺疾患6
520 芍薬甘草湯 偽アルドステロン症6
613 アモキシシリン 出血性腸炎8、多形紅斑5、偽膜性大腸炎5、急性汎発性発疹性膿病症5
613 ピペラシリンナトリウム アナフィラキシーショック5
613 塩酸セフカペンピボキシル アナフィラキシーショック5
613 セファゾリンナトリウム 発熱22、アナフィラキシーショック10、偽膜性大腸炎5、肝機能異常5
613 セフトリアキソンナトリウム アナフィラキシーショック15
613 スルバクタムナトリウム・セフォペラゾンナトリウム アナフィラキシーショック13、偽膜性大腸炎6
613 スルバクタムナトリウム・アンピシリンナトリウム 発熱10
614 クラリスロマイシン 多形紅斑6、肝機能異常5、尿細管問質性腎炎5
617 アムホリテシンB 低カリウム血症12、腎機能障害7
617 ポリコナゾール アスパラギン酸アミノトランスフエラーゼ増加6、アラニン・アミノトランスフエラーゼ増加5
621 サラゾスルファピリジン 好酸球増加と全身症状を伴う薬疹5
624 レボフロキサシン 薬疹5、低血糖症5
624 塩酸モキシフロキサシン アナフィラキシーショック6
624 メシル酸ガレノキサシン水和物 アナフィラキシーショック10、薬疹8、肝機能異常7、低血糖症5
624 リネゾリド 血小板数減少10、貧血7、骨壁機能不全6
625 塩酸バラシクロビル 急性腎不全19、意識変容状態15、橋詰障害12、幻覚9、語妄8、脳症7、神経系障害6
625 リン酸オセルタミビル 異常行動25
625 リバビリン ヘモグロビン減少23、貧血23、好中球数減少9、問質性肺疾患8
625 エンテカビル水和物 肝の悪性新生物7、アラニン・アミノトランスフエラーゼ増加物6
625 ザナミビル水和物 異常行動68、幻覚29、諺妄12、意識消失10 他多数
629 イトラコナゾール 肝機能異常7、肝障害6
629 塩酸テルビナフィン 肝機能異常30、肝障害20、紅斑5、γ−グルタミルトランスフエラーゼ増加5
629 スルファメトキサソール・トリメトプリム 無顆粒球症5

 資料3-2:国内副作用報告の状況(医療用医薬品)[PDF:615KB]より引用

 一方、一般用医薬品についての副作用報告では、ニコチネルンパッチ20(ノバルティス)39件、ナイシトール(小林製薬)7件、メンテック(エーザイ)6件などが目立ったほか、睡眠改善薬ジフェンヒドラミン塩酸塩では死亡例の報告があります。(詳細は未確認)

 資料3-3:国内副作用報告の状況(一般用医薬品)[PDF:233KB]

 詳細については、医薬品医療機器総合機構HP(http://www.info.pmda.go.jp/)の「副作用が疑われる症例報告に関する情報」のページでの検索も可能です。(以下同機構サイトへリンク)

 副作用が疑われる症例報告に関する情報について(平成16年度以降の報告)
 副作用が疑われる症例報告の活用方法について(PDFファイル)

 一方、今回の部会では、海外における添付文書の変更や当局の発表をまとめたものをあわせて発表しています。今後はこれらの知見を踏まえ、添付文書の改訂が行われるものと思います。やはり代表的な重篤な副作用は、患者さんに伝えることが必要だと改めて感じさせられます。

 資料3-5:外国における新たな措置の報告状況[PDF:380KB]

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5月14日、6月25日 リンク追加


2009年05月13日 01:27 投稿

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