20日開かれた中医協の総会で、昨年度行った「後発医薬品の使用状況調査」の最終結果が示されました。
平成20年度診療報酬改定の結果の検証について(p12-17)
(第144回中央社会保険医療協議会総会資料(総-1-1))
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0520-4a.pdf
診療報酬改定結果検証に係る特別調査(平成20年度調査)
後発医薬品の使用状況調査 報告書(PDF:1928KB)
(第144回中央社会保険医療協議会総会資料(総-1-4))
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0520-4d.pdf
中医協の診療報酬改定結果検証部会では、処方せんの「後発医薬品への変更不可」欄に処方医の署名等がなく、かつ患者が希望しない等の理由がないにも関わらず、薬局において後発医薬品に変更していない割合が、74.8%とかなり高いとして、「保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則において、後発医薬品への変更可能な処方せんを持参した患者に対する後発医薬品に関する説明義務及び調剤の努力義務を規定していることを踏まえると、調査結果からは、薬局における後発医薬品についての説明及び調剤が十分でないと考えられ、当該規定の周知や必要な指導などの対応が必要である。」と指摘し、次のような、新たな使用促進策が示されました。
後発医薬品の使用促進について
(第144回中央社会保険医療協議会総会資料(総-2))
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0520-4g.pdf
中医協では一部に、後発医薬品を使用しないとの強い意思表示をしている医療機関・保険医や後発医薬品に関する患者への説明及び調剤に積極的でない薬局が見受けられるとして、今後次のような取り組みを行うことが示され、全会一致で了承されたそうです。
平成21年度の後発医薬品の使用促進策の一環として、「後発医薬品安心使用促進アクションプログラム」に基づく取組などに加えて、各地方厚生局が行う医療機関及び薬局に対する調査(適時調査)・指導(集団指導、集団的個別指導等)の機会を捉えて、以下のとおり、療養担当規則等における後発医薬品の使用促進に係る規定(以下「後発医薬品使用促進規定」という。)の遵守状況の確認や必要な指導を行うこととしたい。
- 医科及び歯科
・調査・指導の際に、必ず外来患者及び入院患者に対する後発医薬品の使用状況(「後発医薬品への変更不可」欄に保険医の署名等がある処方せんの発行割合を含む。)を確認するとともに、後発医薬品使用促進規定の周知徹底と必要な指導を行うこと。 - 薬局
・ 調査・指導の際に、必ず薬剤師による患者への後発医薬品に関する説明状況及び後発医薬品の調剤の状況を具体的に確認するとともに、後発医薬品使用促進規定の周知徹底と必要な指導を行うこと。
・ 特に、後発医薬品に関する説明については、患者が後発医薬品を選択しやすくなるよう丁寧な説明を行うよう指導すること。
とにかく薬局の現場で積極的にわかりやすく後発医薬品の説明をして、変更を勧めて欲しいということのようです。
おそらく、今後は(集団的)個別指導などでも、後発医薬品についての説明を患者さんに指導を行っているかどうかについて、かなりウェイトを置いて指導を受けるものと思われます。
厚労省では近く、全国8か所の地方厚生局に通知するとの方針なので、近く私たちの元にも通知が来ることでしょう。是非、医科に対しても徹底してもらえればと思います。
関連情報:TOPICS 2009.03.26 処方せん様式の変更でも後発医薬品の使用は進まず
資料:第144回中央社会保険医療協議会総会資料(2009年5月20日開催)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/s0520-4.html
参考:
厚労省 後発品促進へ医療機関に「指導」も
(日刊薬業WEBフリーサイト5月20日)
http://nk.jiho.jp/servlet/nk/gyosei/article/1226551323823.html?pageKind=outline
CBニュース5月20日
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/22118.html
http://www.excite.co.jp/News/society/20090520/Cabrain_22118.html
2009年05月21日 00:20 投稿
薬事日報でも関連記事が出ました。
【厚労省】後発品使用進まず、「療担規則」遵守を徹底
(薬事日報HEADLINE NEWS 5月21日)
http://www.yakuji.co.jp/entry11685.html
ある門前薬局で 後発品を銘柄指定している患者を見ました。
ある大病院は 後発品を銘柄指定して患者説明をしているようです。
後発品を備蓄していない?薬局が「ウチでは扱えません。」と他薬局へと誘導していました。
「ウチでは 子供用は扱いませんので 他に行ってください。」と大きな声で 小さい子供連れに話していました。
いくら在庫負担が大きくなるといっても・・・。どれも別々の門前です。
巷にいると様々な患者視点の苦情を聞きますけど、現場の薬剤師さんは自分たちの言動が どんな風に広がっていくのか 実感するつもりはないのでしょうか?
健康保険に加入できない人が増えているくらい健康保険財政は窮しています。社会的なトリアージを考慮して 自ら動いていかないと。
国民皆保険制度が始まるまで 医学部を出ても臨床医師として生活できる収入の保障は無かった。だから、ほとんどが資産家の息子の趣味くらいという現実だったって知ってますか?
今の収入の原資を理解するべきでしょう。
レス遅れてしまいました。
私の所は処方せん枚数は決して多くはありませんが、それでも主力の薬剤についてはGE品を少なくとも一人分は在庫するようにしています。当然、期限切れは続出ですが、後発品変更可の処方せんが増えることをじっと待っています。
松本さんが指摘された薬局は、おそらく経営者が不良在庫をいやがるのでしょう。私から見れば、低薬価品が多いのにと思うのですが。
うちのところでも、後発品の銘柄変更ができない処方せんも少なくありません。医師の中にはやはり、どんな薬効成分を調剤したかではなく、どの銘柄を調剤をしたかを気にされる方もいるのかもしれません。もしかしたら、(変更調剤の)連絡をもらって処理をするのが面倒なのかもしれませんが。
それと、後発品と先発品の効能違いを極力減らして欲しいですね。先発品の効能追加なども困りものです。患者さんへの説明、処方医に疾患名の確認などの確認を求められるからです。先発・後発の効能違いを認めないのであれば、適応外の使用についてももっときちんと査定すべきではないでしょうか。保険薬剤師の義務とはいえ、患者さんへの指導や対話のための時間が大きく削られてしまいます。
また、変更率が何パーセントかということで、薬剤師の努力不足を問うのはどうかと思います。
(後期)高齢者は、一割負担ということで変更のメリットがあまりない上に、説明することが大変ですし、また子どもは近年自治体が自己負担ゼロにするところが増えており、こちらも保護者があえて変更することが少ないでしょう。
また、特定疾患などで公費負担の人も患者自身にとっては積極的に変更する理由が見あたりません。去年の今頃には、生活保護の患者さんは原則GEという話で大きな物議にもなりましたね。
私は、GE品が出ている場合には理由がない限り、先発品での調剤を認めない、もしくは保険者(保険組合)がGE品の薬価分までしか償還しないなどの仕組みを導入しない限り、おそらくこの数字はなかなか上がらないと思います。
以下のブログでも、この話題を取り上げられていますね。
ジェネリックはノルマ、薬局は部下か
(何かをすれば、何かが変わる 5月22日)
http://blog.goo.ne.jp/suke03_tam24/e/33781c40a8e6867807eb97c21674f3fc
[後発医薬品]使用の動機づけをどのようにすべきか
(薬局のオモテとウラ 5月24日)
http://blog.kumagaip.jp/article/29353169.html