16日、厚労省の薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会の安全対策調査会が開催され、リン酸オセルタミビル(タミフル)の安全対策について話し合われました。
平成21年度第1回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会 安全対策調査会
(2009年6月16日開催)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/06/s0616-4.html
平成21年度第1回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会における検討の結果について
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/06/s0616-5.html
調査会では、リン酸オセルタミビルの基礎的調査検討のためのワーキンググループ(基礎WG)及びリン酸オセルタミビルの臨床的調査検討のためのワーキンググループ(臨床WG)における調査検討の結果について、検討が行われ、「タミフル服用と異常行動との因果関係に明確な結論を出すことは困難」「10代への使用見合わせ後に転落・飛び降りによる死亡等の重篤な事例が報告されていない」などとして、今月3日に作業部会がまとめた継続方針(TOPICS 2009.06.04)を支持しました。
- タミフルがインフルエンザに伴う異常行動のリスクを高めるかどうかについては、廣田班疫学調査の解析においては、重篤な異常行動(事故につながったりする可能性がある異常行動等)を起こした10代の患者に限定して解析すると、タミフル服用者と非服用者の間に統計的な有意差はなかった。なお、解析方法の妥当性に関して疫学及び統計学それぞれの専門家から異なる意見があり、データの収集、分析に関わるさまざまな調査の限界を踏まえると廣田班疫学調査の解析結果のみで、タミフルと異常な行動の因果関係に明確な結論を出すことは困難であると判断された。
- 報告を受けた2つの疫学調査(岡部班疫学調査及び廣田班疫学調査)の解析により、タミフル服用の有無にかかわらず、異常行動はインフルエンザ自体に伴い発現する場合があることが、より明確となった。当調査会は、このようなことや、平成19年3月以降の予防的な安全対策(10歳代への使用制限)により、それ以後、タミフルの副作用報告において10代の転落・飛び降りによる死亡等の重篤な事例が報告されていないことからも、安全対策については一定の効果が認められる一方、これまでに得られた調査結果において10代の予防的な安全対策を変更する積極的な根拠が得られているという認識ではないため、現在の安全対策を継続することが適当と判断した。
- 以上を踏まえ、タミフルについて現在講じられている措置(10歳代への使用制限)は、現在も妥当であり、引き続き医療関係者、患者・家族等に対し注意喚起を図ることが適当であると同時に、他の抗インフルエンザウイルス薬についても、同様に異常行動等に関する注意喚起を継続することが適当であると考える。なお、現在のタミフルの使用上の注意においても、10代のインフルエンザ患者のうち、合併症、既往歴等からインフルエンザ重症化リスクの高い患者に対し、タミフルを慎重に投与することを妨げるものではない趣旨であることが理解されるよう、国は平易に説明するよう努めるべきである。また、新型インフルエンザ対策において、リスク・ベネフィットを考慮して、どのような状況でタミフル等が使用されるべきかについては、関係学会及び専門委員会等において専門的な立場から助言等をお願いしたい。
- タミフルの服用と突然死との因果関係については、非臨床試験(動物実験等)、臨床試験(いわゆる夜間心電図試験)等の結果からみて、それを肯定する根拠は示されていないと考えられた。
- 厚生労働省等は、引き続き、タミフルの服用と異常な行動等との因果関係についての情報収集に努め、必要な対応を行うべきである。
関連情報:TOPICS 2009.06.04 タミフルの10代患者の使用制限は妥当(厚労省作業部会)
参考:
タミフル、10代使用中止を継続 厚労省調査会が決定
(47NEWS 6月16日)
http://www.47news.jp/CN/200906/CN2009061601001019.html
読売新聞6月16日
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20090616-OYT1T01011.htm
2009年06月18日 00:10 投稿
今回の結論について、NPO法人医薬ビジランスセンターは19日見解を発表しています。
タミフル:厚労省調査会で10代原則禁止継続
廣田班解析に批判! 統計学者ら突然死は根拠を無視し否定
http://npojip.org/sokuho/090619.html