ポップス界のスーパースター、マイケル・ジャクソン(私もレコード、CDをたくさん持っています)が25日心不全で急死しましたが、その死因をめぐっては処方薬濫用による影響があるのではないかと大衆紙などが伝えています。(実際に服用していたかどうかは定かではありませんが)
英国大衆紙Sunは、“Jacko’s Daily Cocktail” として下記の薬剤を常用していたとしています。
薬品名 (RXlistにリンク) |
成分名 | 日本名 | 備考 |
---|---|---|---|
Demerol (内服・注射) |
ペチジン塩酸塩 (メペリジン塩酸塩) |
オピスタン 他 (日本は注射剤のみ) |
鎮痛剤(合成麻薬) |
Dilaudid (内服) |
Hydromorphone 塩酸塩 | 鎮痛剤(麻薬) | |
Vicodin (内服) |
hydrocodone bitartrate と アセトアミノフェンの合剤 |
米国で濫用が深刻な鎮痛剤 | |
Xanax | アルプラゾラム | コンスタン・ソラナックス | 抗不安薬 |
Paxil | パロキセチン塩酸塩 | パキシル | SSRI |
Zoloft | セルトラリン塩酸塩 | ジェイゾロフト | SSRI |
Soma (内服) |
carisoprodol | 筋弛緩薬 | |
Prilosec | オメプラゾール | オメプラール | PPI |
一方、英国王立薬剤師会関係者(たぶん会長)のコメントを掲載した Mail Onlineでは、常用薬はDemerol、Vistaril(ヒドロキシンパモ酸塩)、Dilaudid、Xanax、Zoloft、Ritalin、Prozac(fluoxetine 塩酸塩・SSRI)、Prilosec だったと伝えています。
またABCは、これ以外にOxycontinも毎日服用していたと伝えています。
これらを仮に全て常用していたのなら、常用量であってもおそらくさまざまなリスク(相互作用も考えられる)を伴うことは明白でしょう。
テレビの情報番組でデーブ・スペクターがコメントをしていたのですが、「皆保険である日本ではこういった鎮痛薬はきちんと管理されているが、自由診療である米国ではお金さえ出せば医師は処方してくれるので、今回医師のモラルが問われている。マイケルの家族(兄弟)たちや友人たちはこういった状況を見て、拉致をしてでも彼を保護することを考えていた。」などと紹介していたのが印象的でした。
日本ではほとんど報じられていませんが、海外の多くのメディアは今回のマイケルの急死を引用して、処方薬濫用の怖さを伝えています。
参考:
Jacko’s Deadly Cocktail of drugs
(The Sun 2009.6.28)
http://www.thesun.co.uk/sol/homepage/news/2504175/
Michael-Jacksons-daily-drugs-cocktail.html
Michael Jackson’s drugs cocktail ‘was highly unusual and dangerous’
(Mail Online 2009.6.28)
http://www.dailymail.co.uk/news/article-1196015/
Michael-Jacksons-drugs-cocktail-highly-unusual-dangerous.html
Michael Jackson’s Legacy(CBS NEWS 2009.6.28)
http://www.cbsnews.com/stories/2009/06/28/sunday/main5119578.shtml
Friend Says Michael Jackson Battled Demerol Addiction
(ABC NEWS 2009.6.26)
http://abcnews.go.com/Health/MichaelJackson/story?id=7938918
2009年06月29日 11:27 投稿
米国医療薬剤師会(ASHP:American Society of Health-System Pharmacists)は7日、マイケル・ジャクソンの急死後の1日に、施設や診療所などで働く薬剤師200名に調査を行ったところ、28%の薬剤師が患者さんから、処方薬の鎮痛薬についての質問をより多く受けるようになったと発表しています。
Survey Reveals Public’s Concerns About Prescription Medication Overdose Risks Following Death of Michael Jackson
(ASHP 2009.7.7)
http://www.ashp.org/import/news/pressreleases/pressrelease.aspx?id=534
そして、AHSPは医療消費者が薬物療法を受ける際には、次のようなことに注意するよう呼びかけています。
・現在受けている薬物療法について、処方の目的、用法・用量をリスト
化して、薬剤師やその他医療従事者とそのリストが共有化できるよう
にしましょう。
・処方薬同士の相互作用のチェックが行えるよう、利用する薬局は一つ
にするか、ITネットワークで確認が可能できる薬局にしましょう。
・くすりについて疑問があるときは薬剤師に相談しましょう
なお、ASHPでは消費者向けウェブサイト“SafeMedication.com.”(http://www.safemedication.com/) で、My Medicine List(PDFでダウンロード可)を利用するよう呼びかけています。
My Medicine List
http://www.safemedication.com/safemed/MyMedicineList.aspx