米FDAは1日、禁煙補助薬のバレニクリン(チャンピックス、米国は、Chantix)とプルオピオン(Zyban 本邦未発売)について、抑うつ傾向(depressed mood)、他者への敵対(hostility)、自殺の考え(suicidal thoughts)などの精神神経系の副作用発現の可能性を黒枠警告で記すよう製薬メーカーに求めると発表しました。
FDA: Boxed Warning on Serious Mental Health Events to be Required for Chantix and Zyban(FDA Press Release 2009.7.1)
http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm170100.htm
Public Health Advisory: FDA Requires New Boxed Warnings for the Smoking Cessation Drugs Chantix and Zyban(FDA 2009.07.1)
http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/PublicHealthAdvisories/ucm169988.htm
また、医療専門職に対しては、次のような点に留意するよう呼びかけています。
- これらを処方する前に、禁煙治療のベネフィットとともに精神神経系の症状の可能性について患者と話し合うことは重要である。
- 医療専門職は、これらを使用している患者について精神神経系の症状がないかどうかモニターすべきである
- 統合失調症、双極性障害、大うつ病などの精神疾患をもっている人がこれらを使用すると症状悪化をみる可能性がある
なお、FDAではこの2剤の有害事象をまとめた情報を、FDA Drug Safety Newsletter – Volume 2, Number 1, 2009 に掲載しています。
The Smoking Cessation Aids Varenicline (Marketed as Chantix) and Bupropion (Marketed as Zyban and Generics): Suicidal Ideation and Behavior
(Postmarket Reviews – Volume 2, Number 1, 2009)
上記日本語訳概要は、医薬品安全性情報Vol.7 No.06に掲載されています。
http://www.nihs.go.jp/dig/sireport/weekly7/06090319.pdf
関連情報:TOPICS
2009.01.09 カナダ当局、バレニクリンの注意喚起強化を検討
2008.10.23 バレニクリンと有害事象(米国)
2008.05.22 バレニクリン、パイロットは使用禁止(米国)
関連記事:CNN日本版7月2日
http://www.cnn.co.jp/science/CNN200907020031.html
7月2日 18:50、3日 0:40リンク追加
2009年07月02日 11:05 投稿
薬害オンブズパースン会議(http://www.yakugai.gr.jp/)は7月6日付で厚生労働省医薬食品局安全対策課とファイザー社に対して、『禁煙補助剤「チャンピックス」の安全対策に関する要望書』を提出しています。
禁煙補助剤「チャンピックス」の安全対策に関する要望書提出
(薬害オンブズパースン会議7月6日)
http://www.yakugai.gr.jp/topics/topic.php?id=646
同会議では要望書で、「日本の添付文書には、禁煙が精神神経症状を起こすことが長々と記載されているのみで、米国のファイザー本社の添付文書には記載がある、本剤使用中にも喫煙を継続している患者でも精神神経症状が報告されていることが明記されていません。同じファイザー社の添付文書であるにもかかわらず、日米で大きな差がある「ダブルスタンダード(二重基準)」の状況にあり、早急な改善が必要です。」と指摘し、添付文書への注意喚起の記載強化を求めた他、米FDAが行っている取り組みも参考に、リスク軽減の取り組みの強化、適切な比較群があり、薬剤投与と重症の精神神経系障害との前後関係が明確になるデザインでの薬剤疫学研究を早急に実施することを求めています。
要望書全文
http://www.yakugai.gr.jp/topics/file/090706champixyoubousho.pdf