虫よけ剤ディートの安全性に懸念(フランス研究)

 世界中で広く使われている虫よけ剤ディートの安全性について,フランスの研究グループがBMC Biology誌に気になる報告を行っています。

Evidence for inhibition of cholinesterases in insect and mammalian nervous systems by the insect repellent deet
BMC Biology 2009, 7:47 doi:10.1186/1741-7007-7-47
Published: 5 August 2009 オープンアクセス)
 http://www.biomedcentral.com/1741-7007/7/47/abstract
 http://www.biomedcentral.com/content/pdf/1741-7007-7-47.pdf

Concern over insect repellent(NHS Choices 2009.8.5)
 http://www.nhs.uk/news/2009/08August/Pages/DEETInsectRepellentQuestioned.aspx

 ディートは昆虫やほ乳類の嗅覚に何らかの影響を及ぼすことはわかっていましたが,作用のメカニズムについてははっきりとわかっていませんでした。研究者らは,マウスを用いた研究でディートにコリンエステラーゼ阻害作用があることをつきとめるとともに,カルバメート系の殺虫剤といっしょに使うとその毒性を強める働きがあるとしています。

 動物実験であり,またこれまでもディートによる有害事象の報告はほとんどないことから,ヒトにも直ちにあてはまるとは考えにくいですが,NHS Choicesでの紹介記事では,とりあえずは,妊婦の使用は避けた方がよいかもしれないとしています。

 さらなる研究が求められます。

参考:Deet bug repellent ‘toxic worry’(BBC News 2009.8.5)
    http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8182052.stm


2009年08月06日 17:45 投稿

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