いよいよ明日は衆議院選挙の公示日ですが,これに先立ち,楽天の三木谷社長らeビジネス関連企業の経営者ら60人が連名でeビジネス振興のための政策に関する公開質問状を自民党と民主党に提出し,その回答が17日公表されています。
eビジネス振興のための政策に対する質問状の提出
(楽天株式会社ニュースリリース 8月10日)
http://www.rakuten.co.jp/info/release/2009/0810_3.html
eビジネス振興のための政策に対する質問状への回答
(楽天株式会社ニュースリリース 8月17日)
http://www.rakuten.co.jp/info/release/2009/0817.html
質問は5つで,その中に,下記の様な医薬品の通信販売に関する事項が含まれています。
IT利活用による経済振興を図るためには、デジタル技術・情報の利活用を阻むような規制・制度・慣行等をすべてゼロベースで見直す必要があると思いますが、これについてどのように考えますか。最近、規制強化された一般用医薬品の通信販売規制についての今後の考え方を教えてください。また、これ以外にどのような規制が問題とお考えになりますか。
回答は,両党ともさらなる規制緩和を示唆した内容となっており,とりわけ民主党は楽天などが主張してきたことが多く含まれています。
自由民主党の回答
デジタル社会を実現していくためには、デジタル技術・情報の利活用を阻むような規制・制度。慣行、サービスの仕組みそのもののあり方や運用などを国民にとつて利益となる形で抜本的に見直すことが必要です。このため、「i-Japan戦略2015」に基づき、2009年中に第一次の「重点点検Jを行い、その結果を踏まえ、所要の措置を講ずるとともに、2010年以降も継続的に見直しをしてまいります。
なお、一般医薬品の販売体制については、厚生労働省「医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会」等をふまえ、薬局等のない離島の居住者等のための経過措置等を設けた省令が施行されましたが、内閣府規制改革会議において、重点事項推進委員会の論点項目としてとりあげられており、インターネット等の販売体制のあり方について継続して議論していくこととしています。
民主党の回答
そもそも民主党は、「現行の事業規制はゼロベースで見直す」と約束しています。
政府がこの夏に導入した、医薬品の通信販売規制強化については、移動を容易に行えない方々の利便・家庭を容易に離れられない方々の利便・昼間に自由な時間を作りづらい方々の利便を損ねること、一般ユーザーが医薬品情報をいつでもどこでも広く入手できる手段と機会やITにより医薬品の購買履歴を適切に管理でる手段と機会を損なうこと、インフルエンザ流行などの際に極めて有効な手段と機会を失ってしまうことなど、消費者・生活者の視点から、重大な問題を抱えていると思います。
また、憲法学者からも、一般用医薬品の通信販売の過度な規制は、憲法が保障する基本的人権、とりわけ自由権・幸福追求権などに抵触する可能性があるとの指摘もあり、いづれにしても多くの問題を抱えていると理解しています。
時間と空間を超えたコミュニケーションを可能とし、個別の購買履歴管理や販売個数制限を容易に行えるなど、すぐれた特徴を有するITの利用 と医薬品についての専門知識を有する人材の活用とを、うまく組み合わせることにより、より適正な医薬品販売を実現することが可能であると考えています。
一般用医薬品の通信販売の過度な規制に関しては、150万人の反対署名が寄せられていることなども踏まえ、よりよい健康社会の実現を図るため、新たな発想で、規制の在り方の見直しを検討します。
これを読む限り,民主党の方が積極的な規制緩和を考えているようです。
政権交代などといわれている情勢を考えると,さらなる規制緩和不可避のように思われます。
ネット販売を行う業者の認証に関与するなど,日薬もそろそろ現実にあわせた方針を考えておくべきではないでしょうか?
関連ブログ:
楽天・三木谷社長らが自民党と民主党に質問状を送付
(薬局のオモテとウラ 8月11日)
http://blog.kumagaip.jp/article/31234964.html
自民、民主がeビジネス振興政策についての質問書に回答を出す
(薬局のオモテとウラ 8月17日)
http://blog.kumagaip.jp/article/31381281.html
参考:
楽天三木谷社長らが自民・民主に質問状、eビジネス振興施策で
(Internet Watch 8月11日)
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20090811_308442.html
2009年08月17日 22:12 投稿