後発品は有効性や安全性が異なる可能性がある(広島県医師会)

 広島県では,広島県医師会(http://www.hiroshima.med.or.jp/)がこのほど「後発品は先発医薬品と全く同じ製剤ではないのです」「ジェネリック医薬品には有効性や安全性が異なる可能性もあるのです」などと記載したチラシを作成し,同医師会全会員(約6500人)に配布し、患者への説明などに用いているそうです。

「ジェネリック医薬品(後発医薬品)に関する広島県医師会からのお知らせです」
(広島県医師会2009年8月5日掲載)
http://www.hiroshima.med.or.jp/news/001839.html
ポスター:http://www.hiroshima.med.or.jp/news/docs/posterA3.pdf
 チラシ:http://www.hiroshima.med.or.jp/news/docs/posterA3.pdf

 よく読むと,最後の方でかかりつけ医や薬剤師と相談してから変更するか否かを決めるよう呼びかけてはいますが,薬局内などで掲示されている厚労省が作成したポスターの「効き目や安全性は,先発医薬品と同等です」という文言に対抗する形となっています。

 また,ちらし(ポスター)では,「抗がん剤のように医薬品副作用被害救済制度の対象とならない薬もジェネリック医薬品として販売されている」と記載され,暗に抗がん剤を後発品に変更した場合には「一切責任はとれません」とも読み取ることができます。こういった文言が並ぶと,おそらく患者さんは後発医薬品の変更に躊躇することでしょう。

 地元医師会と厚労省の後発医薬品の使用促進との狭間にある,広島県の地域薬剤師はさぞかしたいへんではないかと思います。

 薬局のオモテとウラに記事が掲載されていますね。

[広島県医師会]ジェネリック医薬品に関するお知らせ
 (薬局のオモテとウラ 8月30日)
 http://blog.kumagaip.jp/article/31720435.html

 同県呉市が行っている「ジェネリック医薬品促進通知サービス」の影響があるのではないかとの指摘がありますが,私もそう思います。医師会との合意で始めたが,いくつかトラブルがあって懸念が広がったというところではないでしょうか。

中国新聞 2008年2月14日
 http://www.chugoku-np.co.jp/Health/An200802140269.html
中国新聞(社説) 2008年8月18日
 http://www.chugoku-np.co.jp/Syasetu/Sh200808180078.html

また抗がん剤の後発品変更への懸念に関する記事もありました。

中国新聞 2008年4月14日
 http://www.chugoku-np.co.jp/Health/An200804040395.html

 今回の広島県医師会のポスター・チラシの作成について,日本ジェネリック医薬品学会は見解を発表しています。

「ジェネリック医薬品に関する広島県医師会からのお知らせ」に対する日本ジェネリック医薬品学会の見解について
  (日本ジェネリック医薬品学会2009年8月27日)
 http://www.ge-academy.org/img/iken090827.pdf

関連情報:TOPICS
 2008.09.16 呉市の後発医薬品情報の通知に全国が注目
 2008.02.16 呉市、国保加入者に後発医薬品情報を通知へ 

参考:広島県医 「後発品は先発品と同じではない」
    (日刊薬業フリーサイト 8月27日)
http://nk.jiho.jp/servlet/nk/dantai/article/1226551725743.html?pageKind=outline

8月30日 10:10更新 2012年3月12日リンク再設定


2009年08月28日 13:57 投稿

コメントが2つあります

  1. アポネット 小嶋

    他ブログで知ったのですが、地元栃木県でも同様のものを作成しています。

    ジェネリック医薬品(後発医薬品)に関するポスター並びにリーフレットについて
     (栃木県医師会 2009年10月19日)
     http://www.tochigi-med.or.jp/medic/news/20091019-2676.html

    今度は栃木県医師会が「ジェネリック医薬品に関するお知らせ」
     (薬局のオモテとウラ 2009年11月3日)
     http://blog.kumagaip.jp/article/33408894.html

    3番目の「ジェネリック医薬品によって副作用が生じた場合、十分な対応が可能なのか不安があります」という部分がひっかかりますね。患者さんがこれを見て、ジェネリック変更に躊躇するということはないのでしょうか。

    ジェネリックを使いたくない医療機関は、目立つところにこれを張るのでしょうか。

    ちなみにこの話、私の知る限りでは県薬ルートでは入っていません。患者から尋ねられてもいいように、事前にインフォメーションして欲しかったですね。

  2. アポネット 小嶋

    日本ジェネリック医薬品学会は、29日付で栃木県医師会宛に同学会の意見書を送っています。

    「ジェネリック医薬品(後発医薬品)に関するポスター並びにリーフレットについて」に対する日本ジェネリック医薬品学会の意見について
    (日本ジェネリック医薬品学会 2009年10月29日)
     http://www.ge-academy.org/img/iken091030.pdf

    この学会の代表理事をされている、武藤正樹氏は本校が栃木県大田原市にある国際医療福祉大学の大学院(所属は東京青山のキャンパス)の教授をされている方なので、いわば足元でこういったポスターが出たということになります。