新型インフルエンザワクチン接種の基本方針が決まる

 1日、政府の新型インフルエンザ対策本部の第5回会合が開催され、新型インフルエンザ基本的対処方針及び新型インフルエンザワクチン接種の基本方針を決定しています。

新型インフルエンザへの対応(首相官邸)
 http://www.kantei.go.jp/jp/kikikanri/flu/swineflu/

 このうち新型インフルエンザ(A/H1N1)ワクチン接種の基本方針で示された、優先的に接種する対象者には、素案から新たに「身体上の理由により予防接種が受けられない人の保護者など」が追加された他、「小児」の年齢は、「1歳から就学前」から「1歳から小学3年生に相当する年齢」にまで拡大されています。

 一方、「インフルエンザ患者の診療に直接従事する医療従事者(救急隊員を含む)」については、具体的な範囲は示されませんでした。パブコメの結果や通知などを待ちたいと思います。

 費用は、1回目が3,600円、2回目が2,550円(同一医療機関で接種を受けた場合)の計6,150円で、19日を目処にインフルエンザ患者の診療に直接従事する医療従事者から順次接種が開始されるそうです。(低所得者などに対しては費用の軽減あり)

長妻厚労相10月1日会見

厚生労働省動画チャンネル「YouTube」(長妻大臣会見〜今後の新型インフルエンザ対策について〜)

配布資料(厚労省10月2日掲載)

 また、ワクチン接種に伴い健康被害が生じた場合の救済処置が採れるよう、また、輸入ワクチンの使用に伴い、万が一生じる健康被害等に関し、製造業者に生じた損失を国が補てんすることが出来るよう立法措置を講ずることしています。

官房長官記者発表 2009年10月1日
  http://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/rireki/2009/10/01_p.html

 また、厚労省は2日、新型インフルエンザワクチンQ&Aも発表しています。

新型インフルエンザワクチンQ&A(平成21年 10月2日時点 厚労省)
 http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/infu091002-01.pdf

関連情報:TOPICS 2009.09.06 新型インフルエンザワクチン接種に関するパブコメ

参考:CBニュース10月1日(一定期間を過ぎるとログイン必要)
  http://www.cabrain.net/news/article/newsId/24582.html
新型インフル接種、中旬から開始 費用は2回分6150円
 (47NEWS 10月1日 共同通信配信)
  http://www.47news.jp/CN/200910/CN2009100101000685.html
毎日新聞10月2日
  http://mainichi.jp/select/science/news/20091002ddm001040015000c.html

10月1日 15:50更新


2009年10月02日 11:06 投稿

コメントが8つあります

  1. アポネット 小嶋

    10月2日に開催された「新型インフルエンザ対策担当課長会議」で、パブリックコメントの結果概要が公表されています。

    資料4-2「新型インフルエンザ(A/H1N1)ワクチン接種について(素案)」にかかるパブリックコメントの実施状況について
     http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/infu091002-14.pdf

    2993人から4345件の意見が寄せられ、「インフルエンザ患者の診療に直接従事する医療従事者」の定義に薬剤師に含めるべき(105件)については、下記資料でより具体的に示されています。

    資料6 受託医療機関等における新型インフルエンザ(A/H1N1)ワクチン接種実施要領(案)
     http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/infu091002-16.pdf

    「新型インフルエンザ患者の診療に直接従事する医療従事者」の範囲は、原則として医業をなす病院または診療所において新型インフルエンザ患者の診療に直接従事する医療従事者とする。

    また、診療所及び職種については、次のとおりとする。

    • 診療所は、内科、小児科、救急科等、新型インフルエンザの患者の診療を行う診療科を基本とするが、その他の診療科であっても新型インフルエンザ患者の診療を行う特段の事情がある場合は、対象として差し支えない。
    • 職種は、医師、看護師准看護師等、新型インフルエンザ患者の診療に直接従事する職種を基本とするが、その他の職種であっても、新型インフルエンザ患者の診療を行うは、対象として差し支えない

    また、新型インフルエンザの接種までの全体的な流れについては、この会議で配布された下記資料でよくまとめられています。

    参考資料
     http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/infu091002-19.pdf

  2. すみません。資料6がうまく開けなくて読めないので、ピントがずれていたらすみません。

    しかし、FAXでの自宅への対応をこれだけ呼びかけているのに・・・・
    診察へ行けなくて自宅待機する人の家へ行くんですよ。
    タミフルなんかを配達するんですよ。
    自宅での感染者→家族(感染の可能性)→配達した薬剤師(感染の可能性)→感染拡大の可能性

    これだけ、徹底して学校閉鎖や、症状が出たら仕事を1週間休ませる、なんて言って隔離(適切な言葉が思い浮かびません)してるのに、一番感染源に近づく人間にワクチン接種しなくていいんですか?

    しかも、薬局に感染者がどうしても行く場合はマスクして・・・とかQ&Aに書かれていますが。医療機関には入らなくても、薬局にはやむをえなければOKって、薬局の待合室での感染拡大の可能性もあるんじゃないですか?
    薬局だけ、他との温度差があまりにもありすぎて、私は不可思議です。

  3. アポネット 小嶋

    >ぼんたさん

    資料6は開けると思います。無理でしたら、下記ページからアクセスしてみて下さい。

    新型インフルエンザ対策関連情報」:ワクチン関連情報
    http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/inful_vaccine.html

    「感染拡大防止にファックス処方せんでの調剤もOK」のコメントで書きましたが、10月2日に出されたQ&Aの通知では、下記のようになっています。

    ファクシミリ等による処方せんの送付及びその応需等に関するQ&Aについて
    (厚生労働省新型インフルエンザ対策推進本部 2009年10月2日)
    http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/hourei/2009/10/dl/info1001-01.pdf

    ———————————————————

    Q:ファクシミリ等による処方せんの送付を受けた薬局は、調剤した薬剤を患家に届ける必要がありますか。

    A:ファクシミリ等による処方せんに基づき調剤された薬剤の受け渡しについては、患者ではなく患者の同居者や患者の依頼を受けた者等へ行うこと、それらの対応も困難な場合については介護や看護にあたる者等を活用するといった対応も考えられます。また、やむをえず患者本人が受け取りに行く場合には、マスクを着用し、必要に応じて事前に薬局へ連絡してもらうなどして屋外で薬剤の受け渡しを行う等の感染対策をとることも考えられ、必ずしも、薬局が調剤した薬剤を患家に届ける必要はありません。したがって、ファクシミリ等による処方せんの送付を行う場合は、薬剤の受け渡しが適切に行われるよう、あらかじめ医師から患者及びその同居者等に対して、薬局における感染対策への十分な配慮や薬剤の受け渡しの留意点について指導しておくようにしてください。
    なお、薬剤を患家に届ける場合等には、服薬指導は電話で行うことでも差し支えありません。

    —————————————————

    今はもうやっていないのかもしれませんが、感染拡大時にイギリスでは、インフルエンザ様症状がある人が電話で相談したのち、タミフル受け取り番号を発行、友人などの患者本人以外の人が代わりにこの番号を提示して、専門の配布場所でタミフルをもらうという仕組みがありました。(NHKでも紹介していました)

    各国でどうなのかは十分把握していませんが、薬局がタミフルを配達をするという記事などは今のところ目にしていません。英国のように原則患者以外の人に来てもらうか、保健所などで配布するなどの仕組みも考慮してもよいと思います。 (もっとも、ニュージーランドではシーズン中は処方せんなしでタミフルが薬局で買えますが)

  4. アポネット 小嶋

    Satyさんがわかりやすくまとめているので、参考にして下さい。

    「新型インフルエンザワクチン:優先接種対象の医療従事者とは?」 
     (another side of ”d-inf”2009.10.4)
     http://hello.ap.teacup.com/d-inf/1971.html

    「新型インフルエンザワクチン関連最新情報」
     (another side of ”d-inf”2009.10.3)
     http://hello.ap.teacup.com/d-inf/1970.html

  5. 有難うございました。
    厚労省のページまではOKなんですが、1日の大臣会見までなので、でも、Q&Aなどで、だいたいはわかりました。すみませんでした。

    以前書かれていましたが、FAXって便利ですが、一気に増えても対応できる話しではないです。
    また配達行ってる間に山のようにFAXがきてしまう可能性もあります。
    安易にFAXにされたら、薬局は備蓄もなければ、人的配置もなく、パニックになります。タミフルやリレンザだけならいいですが、慢性疾患や他の風邪薬なんて話になったら、ポストに入れてくるだけははまずいでしょうし、熱があって寝てたら、電話で服薬指導って、電話に出れるはずがないです。

    きちんと薬剤師会での対応を考えておかないといけないのに、日薬は対応して下さいってだけで具体的な話まで出てないのではないでしょうか?
    うちの県は、私がうるさいせいか?、インフルエンザ対策本部と特別委員会を立ち上げました。

  6. アポネット 小嶋

    >ぼんたさん

    >きちんと薬剤師会での対応を考えておかないといけないのに、日薬は対応
    >して下さいってだけで具体的な話まで出てないのではないでしょうか?

    同感です。具体例を示して、地元医師会等とどのような調整が必要かくらいの文書は出して当然だと思います。現場が混乱するかもしれないという危機感を日薬のトップの人たちはどれだけ考えているのでしょうね。

    薬の供給の責任者として薬局は存在しているのですから、今回のことは薬剤師会の存在意義をアピールするチャンスでもあります。そういった視点でトップダウンでもっと取り組んでもらいたいですね。県単位で対策本部ができるだけでも大きな力にはなりますよ。

    本当にFAX処方せんが乱発されたら、小規模の薬局は大変です。しかも、タミフルだったらすぐに持ってきてということになりますから、対応できない場合もあるでしょう。さらに、基礎疾患を抱えている人まで薬を届けるとなると、混乱は必至です。

    これを期に、処方せんの再利用(リフィル)を認める、有効期間を延長する(今でも可能ではありますが)など、薬局や患者さんに負担がかからない方策の検討も必要ではないでしょうか?

  7. まったくその通りなんです。
    危機感ゼロ。
    今までも、他が大騒ぎとは思いつつも、医療機関とか施設とか学校との対応との差があまりにもありすぎて、これでいいんだろうか?ってずっと思っていました。
    これから本格的なシーズンになるのに、さすがにこれではいけないと思います。

    他は新型の重症例が1例でもあったからでしょうけど。
    すなわち、薬局で新型に感染した例が1例もなかったから、ワクチンも対象外としたのでしょうか?
    しかし、配達する人間には、やはりその人及び感染拡大防止のためにも、ワクチンの接種をお願いしたいと思います。
    新型感染したら、配達どころか、1週間休まないといけないんだし、町中の薬局のほとんどが休業なんてなったら洒落になりません。
    医師会は「流行時にも医療を提供する」「訓練を実行する」と、具体的に各医療機関が対応してなくても、指針は示しています。それが組織としてのあり方ではないでしょうか?

    今回の件は、医師からの動きが出る前に、薬剤師会で十分に検討し、無理な事は無理とはっきり医師会に伝えないと、とんでもない事態になります。
    実際8時間で、距離もありますが、一人では30人配達するの、結構きついですよ。

    個人的には、処方せんのFAXを送ったら、その薬局から電話して、配達可能時間を医療機関と相談するなどの対応が必ず必要と思います。

    会営薬局など、広域の対応をせまられるところは、配達などは不可能です。また慢性疾患の薬が急に来られても、在庫がありません。
    市内ならいいですが、郡部になれば、卸の対応も不可能です。
    地元のかかりつけの薬局をきちんとつくっておかないと。
    今から、そういう啓蒙活動をしないといけないと思いますし、この体制を地区薬剤師会できちんとできれば、医師会の信頼もえられると思います。

    簡単な話ではなく、本当に重大な問題です。みんなで考えないと。

  8. アポネット 小嶋

    >ぼんたさん 

    >地元のかかりつけの薬局をきちんとつくっておかないと。
    >今から、そういう啓蒙活動をしないといけないと思いますし、

    そうなんですよね。今回のことは、かかりつけ薬局の必要性をアピールするチャンスでもあるんですよね。

    ところで、日薬HPに、日薬から都道府県薬宛の通知文が掲載されています。

    平成21年10月2日 日薬業発第240号
    「新型インフルエンザ(A/H1N1)ワクチン接種の基本方針」等について
    http://www.nichiyaku.or.jp/contents/topics/influenza/pdf/091002_240.pdf

    平成21年10月2日 日薬業発第239号
    新型インフルエンザ「基本的対処方針」の改定等について
    http://www.nichiyaku.or.jp/contents/topics/influenza/pdf/091002_239.pdf

    ワクチン接種に関しては、

    「貴会におかれましては、新型インフルエンザ(A/H1N1)の特徴やワクチン接種の目的をご理解いただき、会員から地域住民に対し、治療薬や療養等による対応や、ワクチンの有効性・安全性等に関する情報も含めて、適切な情報提供がなされるよう、会員への情報提供等につきよろしくお願い申し上げます。」

    と書かれているだけて、現場の薬剤師の多くが注目している「インフルエンザ患者の診療に直接従事する医療従事者」に薬剤師が含まれるかどうかについては、触れてさえいませんね。

    また、基本的対処方針についても、既に本サイトで紹介している国の通知等の紹介に留まり、

    「貴会ならびに支部薬剤師会におかれましては、自治体や医師会等、関係先と十分な連携を図り対応されますよう、お願いいたします。」

    とするだけで、実際のシュミレーションなど具体的な対応策は示されていません。

    「地域に合わせた独自の対応を」と言えば、聞こえはいいのですが、ここまで会員が求める情報が出てこないとなると、日薬内に対策斑の設置など、特別な対応など取る必要はないと考えているのではないかと勘ぐってしまいますね。

    こんな通知だけだったら、厚労省などのウェブサイトからの情報収集で十分ですね!