TOPICS 2009.06.29 の記事で、スウェーデンのウメア大学の研究チームと京都大の田中宏明教授が、淀川水系から採取した水中の、タミフルの代謝活性体であるオセルタミビルカルボン酸塩(OC:oseltamivir carboxylate)の量(2007-8年シーズン)を測定した論文を紹介しましたが、2008-9シーズンの調査結果が、Environmental Health Perspectives (EHP)誌に掲載されています。(オープンアクセス)
Oseltamivir Carboxylate – the Active Metabolite of Oseltamivir Phosphate (Tamiflu), Detected in Sewage Discharge and River Water in Japan
(Environ Health Perspect Online 28 September 2009)
http://www.ehponline.org/docs/2009/0900930/abstract.html
http://www.ehponline.org/members/2009/0900930/0900930.pdf
今回の調査ではサンプリングが1カ所増えて、7カ所なった他、下水処理場(STP:Sewage Treatment Plant)4カ所でもサンプリングを行い、下水場の汚水処理法によってOCの除去がどの程度異なるかも調べられています。
論文で、標準的処理に加えてオゾン処理もするとOCが85%以上は除去が可能とかかれており、TOPICS 2009.06.29 の記事のコメントで紹介した新聞記事がこれにあたるようです。
論文の概要は下記プレスリリースで
Tamiflu Metabolite Measured in Japanese Sewage Discharge, River Water
(EHP IMMEDIATE RELEASE 2009.9.28)
http://www.ehponline.org/press/20090928.html
関連ブログ:忍び寄るタミフル耐性(内科開業医のお勉強日記10月4日)
http://intmed.exblog.jp/9055514/
関連情報:TOPICS
2009.06.29 淀川水系で検出されるタミフル代謝活性体
2007.10.04 タミフルは下水処理でも分解されず、耐性獲得のリスクに
2009年10月04日 23:05 投稿
すでに、2010年1月7日の日薬定例記者会見で明らかになっていますが、日薬でも河川中のタミフル(の代謝産物?)の残留状況を調査しているようです。
2月14日の朝日新聞が記事にしています。
タミフルが河川汚染? 耐性ウイルス懸念、影響調査へ
(朝日新聞2010年2月14日)
http://www.asahi.com/health/news/TKY201002130352.html
生活環境水域中の医薬品調査 報告書の件
(日本薬剤師会定例記者会見2010年1月7日)
http://www.nichiyaku.or.jp/contents/kaiken/p100107.html#100107_2
京都大の研究結果を踏まえた調査を行ってくれるといいですね。