医師と看護師等との協働・連携のあり方等について検討を行うために設置された、「チーム医療の推進に関する検討会」ですが、10月5日開催の第2回検討会と13日開催の第3回検討会で、現場などの取り組みを紹介するヒアリングが行われています。
第2回 チーム医療の推進に関する検討会(2009年10月5日開催)
資料:http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/10/s1005-6.html
議事録:http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/10/txt/s1005-12.txt
第3回 チーム医療の推進に関する検討会(2009年10月13日開催)
資料:http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/10/s1013-4.html
議事録:http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/10/txt/s1013-7.txt
第2回検討会のヒアリング資料をみると、第1回と同様「ナース・プラクショナー」の導入を念頭においた事例紹介になっていたことから、本サイトではあえて紹介しませんでしたが、13日開催された第3回では、看護師だけではなく、薬剤師などのコ・メデイカルスタッフとの連携の必要性などの意見が示されています。
第3回の検討会でヒアリングを行ったのは、虎の門病院薬剤部長の林昌洋氏、近森病院常務理事の川添昇氏、聖路加国際病院がん看護専門看護師の中村めぐみ氏の3名で、このうち林氏は、「チーム医療における薬剤師の役割」と題して、虎の門病院での薬剤師の取り組みについて紹介しています。(議事録が楽しみです)
資料2:林昌洋先生配付資料(ファイルが8.7MBと大きいです)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/10/dl/s1013-4c.pdf
林氏は、チーム医療について、「患者さんを医療の中心において、医師、薬剤師、看護師をはじめとした医療専門職がそれぞれの専門分野を生かして分担・連携し、質の高い医療の実現を達成する医療提供体制」であるとし、専門職が分担・連携・相互支援するため、医師をはじめ各職種の負担も分散し軽減化され、質の確保と効率化が図れるとしています。
さらに林氏は、
- 薬剤師が患者面談し、副作用をモニタリング、薬物療法の問題点を把握し、処方提案することにより、医師と薬剤師が役割分担している。
- 適正使用が特に重要となる医薬品に関して、院内投与プロトコールを作製し、体内動態解析にもとづき薬剤師が投与設計を行い、医師を支援している。
- 薬剤師が、患者面談し、持参薬の確認及び服薬計画の提案を行うことにより、相互作用確認、重複投与防止、入院後の手術・検査による副作用発現防止、等の医療安全の確保及び医師等の負担の軽減が可能となる。
- 医師と薬剤師の協働において、薬剤師が薬学的患者ケアを実践すると、医師の負担が軽減されるとともに、患者さんの安心と、薬物療法のきめ細かな適正化が推進される。
- 副作用モニタリングには、薬物血中濃度の検査、添付文書に記載の生化学検査等が必要になる薬物が少なくない。薬剤師から医師へ検査実施を提案しているが、医師と協働の治療プロトコールを作成し、この範囲内で薬剤師が検査オーダを実施すれば、医師負担の軽減と医療の質の担保につながると考えられる。
などの取り組み事例を紹介し、病棟での医師との役割分担が薬物療法の質の向上と効率化の両立につながると指摘しています。
また、川添昇氏(厚労省資料は、医療法人近森会 近森病院院長 近森正幸先生となっていますが)も、看護師などコメディカルが病棟で情報交換し、専門性を生かしながら最適なチーム医療を提供する仕組みとしての「情報共有型チーム医療」の実践例を紹介しています。
今後の議論も目が離せませんね。
関連情報:TOPICS
2009.08.24 28日、チーム医療の推進に関する検討会が開催
2009.08.29 第1回チーム医療の推進に関する検討会
2009.01.07 専門薬剤師 vs 専門看護師
2008.09.22 看護師による薬剤の処方は有用(日本学術会議提言)
2008.09.17 専門薬剤師の必要性と今後の発展(日本学術会議提言)
参考:医療介護ニュース10月13日(一定期間を過ぎるとログイン必要)
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/24758.html
11月13日 10:50更新
2009年10月14日 01:12 投稿
第3回の議事録が11月13日にアップされています。(元記事にリンク)
また、11月2日には第4回の検討会が開かれています。
第4回チーム医療の推進に関する検討会資料(2009年11月2日開催)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/11/s1102-7.html