米国BioCryst社が開発し、日本でも塩野義製薬が臨床試験を実施中の点滴タイプの抗インフルエンザ治療薬のPeramivir Injection 200mg/20mL (10 mg/mL) について、米FDAは23日、緊急時に限って使用を認めると発表しました。
FDA Authorizes Emergency Use of Intravenous Antiviral Peramivir for 2009 H1N1 Influenza for Certain Patients, Settings(FDA 2009.10.23)
http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm187813.htm
日本語訳が、医薬品安全性情報Vol.7 No.22に掲載されています。
http://www.nihs.go.jp/dig/sireport/weekly7/22091029.pdf
この発表は、24日のオバマ大統領の非常事態宣言に合わせて発表されもので、使用可能なのは、HINIの新型インフルエンザで入院中の患者で、内服薬や吸入薬で効果がない人(not responding)、静脈経路以外の経路(経腸または吸入)による投与では確実性・実現性が期待できない場合、その他の事情で静注薬による治療が適切であると臨床医が判断した場合(成人)に限定されます。非常事態宣言解除があれば特例使用の措置も解除されるようです。薬剤師による副作用の収集も重要ですね。
各紙によれば、今回の特例使用はCDCの求めにFDAが応じたもので、FDAでは既に一部が示されている臨床試験で効果が認められたとして決断したようです。緊急使用は、タミフルやリレンザの承認外の使用でも認めていますが、今回の特例使用はどうもワクチン不足による混乱を避けるための対策のようにも感じられます。(カナダでは小児向けタミフルも不足しているようです)
Emergency Use Authorization (EUA) of Medical Products and Devices(米CDC)
http://www.cdc.gov/h1n1flu/eua/
日本では、こういった超法規的措置はまず考えられませんが、優先順位者(特に基礎疾患者の認定)を巡って、ワクチン不足による混乱が起きないか本当に心配でなりません。
関連情報:TOPICS
2009.10.10 リレンザをネブライザーで使用してはいけない(米FDA)
2009.04.28 米FDA、インフルエンザ治療薬の承認外使用を認める
参考:
米大統領、インフル緊急事態宣言 対応を強化、死者千人超
(47NEWS 10月25日 共同通信配信)
http://www.47news.jp/CN/200910/CN2009102401000706.html
Families Line up for Shots as H1N1 Spreads
(CBS NEWS 2009.10.24)
http://www.cbsnews.com/stories/2009/10/24/eveningnews/main5418093.shtml
10月29日 23:00更新
2009年10月26日 00:14 投稿