MHRA(英国医薬品庁)は、3日“Drug Safety Update”と“Public Assessment Report”を公表し、スタチンの安全性情報をUpdateすると発表しました。
Statins:Updates to product safety information(MHRA 2009.11.3)
Statins: updates to product safety information
(MHRA PUBLIC ASSESSMENT REPORT 2009.11 PDF 334KB)
Drug Safety Update: Volume 3, Issue 4, November 2009
http://www.mhra.gov.uk/Publications/Safetyguidance/DrugSafetyUpdate/CON062553
上記日本語訳概要は医、薬品安全性情報Vol.7 No.25に掲載
http://www.nihs.go.jp/dig/sireport/weekly7/25091210.pdf
MHRAでは、英国内で承認されているスタチン製剤(アトルバスタチン、フラバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン・OTC版も含む)について、関連性が示唆されている次の6つの副作用について、欧州で発表された文献等をレビューしています。(詳細は上記 PUBLIC ASSESSMENT REPORTを参照)
睡眠障害 (Sleep disturbances) |
アトルバスタチンとフラバスタチンについては、、好ましくない影響(undesirable effect)として、すでに記載あり。スタチン類共通の副作用の可能性有り、全てのスタチンで副作用としての記載が必要 |
記憶喪失 (Memory loss) |
ロスバスタチン以外のスタチンでの記憶喪失は同程度に発症する。アトルバスタチンについては副作用の記載がある。因果関係ははっきりはしないが、他のスタチンとの関連性は否定できないので、全てのスタチンで副作用としての記載が必要 |
排尿障害 (Micturition disorders) |
プラバスタチンについては、すでに排尿異常についての副作用の記載がある。スタチン全体では関連性のエビデンスは十分ではない、十分モニターされる必要がある |
性機能障害 (Sexual disturbance |
アトルバスタチンとプラバスタチンについては性機能障害についての副作用の記載がある。スタチン類共通の副作用の可能性有り、全てのスタチンで副作用としての記載が必要 |
抑うつ (Depression) |
アトルバスタチンとロスバスタチンは関連性がある。スタチンの使用と抑うつとの直接の関連性は認められないが、全てのスタチンで副作用としての記載が必要 |
間質性肺炎 (Interstitial pneumopathy) |
限られたデータで関連づけることは難しいが、過敏性肺炎や非特異性間質性肺炎との関連性の可能性がある。 まれではあるが、潜在的・致死性であることを考慮して、注意喚起が行われるべきである |
MHRAでは、 PUBLIC ASSESSMENT REPORTを受けて、添付文書にこれらの副作用の発症例があるとの追記を行うと共に、患者向け説明書にも、これらの副作用発現の可能性についての記載が行うとしています。
日本でも、厚労省がこういった副作用について、国外の文献を含めた系統的なレビューを行い、公表してくれるといいですね。調剤時に患者さんにこれらの副作用がないかどうか確認が今後必要かもしれません。
12月10日リンク追加
2009年11月05日 01:57 投稿