サプリメントによる葉酸摂取、妊娠期間通じて必要か？(豪州研究)

　日本でも、妊婦の積極摂取が勧奨されている葉酸ですが、妊娠後期にサプリメントの形で摂取すると生まれてくる子どもに喘息リスクが高まる可能性があるという研究結果が発表されています。

Effect of Supplemental Folic Acid in Pregnancy on Childhood Asthma: A Prospective Birth Cohort Study（今のところオープンアクセスです）
　（American Journal of Epidemiology　published online on October 30, 2009）
　http://aje.oxfordjournals.org/cgi/content/abstract/kwp315v1
　http://aje.oxfordjournals.org/cgi/content/full/kwp315v1
　http://aje.oxfordjournals.org/cgi/reprint/kwp315v1.pdf

妊娠後期の葉酸サプリ摂取で子供のぜんそくリスク上昇、豪研究
(AFP BB News 11月5日)
　http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2659972/4853903

　この研究は、オーストラリアで行われた557人を対象とした cohort study で、妊娠初期（16週まで）と妊娠後期（30〜34週）における、葉酸の摂取状況（食品・サプリメント）と、生まれた子どもの喘息の有無との関係が調べられています。

　その結果、3.5歳における喘息の発症リスクを調べたところ、妊娠後期にサプリメントの形で葉酸を摂取していた母親から生まれた子どもでは、葉酸の積極摂取を行っていなかった母親から生まれた子どもと比べ26％、また妊娠前期・後期共に摂取していた場合も32％高かったそうです。（共に有意差あり）　一方食品で葉酸を積極摂取（100μｇ/日）した場合の喘息リスクの増加は9％に留まり有意差もありませんでした。(つまり、食品として摂取する場合は心配いらない)

　また、5.5歳でも妊娠後期にサプリメントの形で葉酸を摂取していた場合も17％リスクが高くなりましたが、統計学的有意差はありませんでした。

　豪州でも近年喘息の子どもが増えており、もしかしたら、妊娠期間を通じての葉酸サプリメントの摂取が原因かもしれないとした研究者の声もあがっています。

　さらなる研究結果を待ちたいところですが、妊娠初期の葉酸の積極摂取の見解については変わらないので、今後はサプリメントによる摂取をどの期間に留めるかという議論が出てくる可能性はあるでしょう。

参考：
Children’s Asthma Risk Linked To Folic Acid Supplements During Late Pregnancy, Australian Study（Medical News Today 2009.11.5）
　http://www.medicalnewstoday.com/articles/170018.php

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2009年11月06日 16:01 投稿