TOPICS 2008.09.20 で、アセトアミノフェンが喘息のリスクを増すかもしれないとしたLancet 誌の論文を紹介しましたが、今度は Chest 誌 に、アセトアミノフェンの使用と喘息のリスクについて調べた、カナダの研究グループによるシステマティックレビューが掲載されています。
(薬剤師関連のstudyについて、一部については下記のスタイルで紹介することにしました。記述法などに誤りがございましたらご指摘下さい。)
研究の 目的や背景 |
アセトアミノフェンと使用と子どもや成人の喘息のリスクを定量化する (これまで相反する結果が出されていた) |
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研究の方法 | A Systematic Review and Metaanalysis |
どんな患者が研究の対象? | 13のcross-sectional study、4つのcohort study、2つのcase-control study 425,140人のデータ |
何を指標? | アセトアミノフェンの使用と喘息の明確な診断 |
何と比較? | アセトアミノフェンを使用しなかった人? |
わかったこと | アセトアミノフェンの使用で、喘息リスクが63%上昇 過去1年間にアセトアミノフェンを使用していた子どもで喘息リスクが60%上昇 1歳までにアセトアミノフェンを使用した子どもで喘息リスクが47%上昇 出生前に(母親が)使用していた場合喘息リスクが28%、喘鳴のリスクが50%上昇 アセトアミノフェンを使用している成人では使用していない人と比べ喘息リスクが74%高かった |
コ メ ン ト | 研究者らは、アセトアミノフェンのシクロオキシゲナーゼ阻害の不足、喘息反応に関係する鍵となる酵素が関与しているのではないかとしています。 |
論 文 名 | Acetaminophen Use and the Risk of Asthma in Children and Adults A Systematic Review and Metaanalysis |
掲載雑誌 | Chest 2009 136:1316-1323 |
リ ン ク | http://chestjournal.chestpubs.org/content/136/5/1316.abstract |
“acetaminophen”“asthma”をキーワードにPubMedで検索すると、最近でも下記のような論文が出ていて、関連性は強いのかもしれません。
Prenatal acetaminophen exposure and risk of wheeze at age 5 years in an urban, low-income cohort.(Thorax. 2009 Oct 22. [Epub ahead of print])
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19850963
Intake of paracetamol and risk of asthma in adults.
(J Asthma. 2008 Oct;45(8):675-6.)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18951259
アセトアミノフェンといえども、使用は必要最小限にしないとダメということなのでしょうか。総合感冒薬をよく使う日本人はどうなのでしょう? さらなる研究を待ちたいですね。
この論文は、8月にOnline First として既に発表されていたのですが、どうも記事として取り上げられていなかったようです。もう既知の事として、大きくとりあげることもなくなったのでしょうか。アブストラクトしか見れないので、今後解説記事や論評記事がでましたら、更新したいと思います。
関連情報:TOPICS
2008.09.20 アセトアミノフェンと喘息リスク
論文紹介記事:
Acetaminophen May Be Linked to Asthma Risk
(WebMD 2009.11.5)
http://www.webmd.com/asthma/news/
20091105/acetaminophen-may-be-linked-to-asthma-risk
Acetaminophen may be linked to asthma in children and adults
(EurekAlert! 2009.11.5)
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2009-11/acoc-amb110409.php
2009年11月08日 01:58 投稿