後発品のある先発品などの薬価の見直しは必要

 11日午後、行政刷新会議WG「事業仕分け」の第2WGは午後、「後発品のある先発品などの薬価の見直し」について、事業仕分けを行っています。

資料
  http://www.cao.go.jp/sasshin/oshirase/pdf/nov11-pm-shiryo/06.pdf

 15名の仕分け人は、厚労省と財務省が論点として示した「後発品のある先発品などの薬価の見直し・先発医薬品の薬価を後発品の薬価を目指して引き下げ」「医療材料の内外価格差(1.7倍)解消」「薬価差の2%上乗せ(調整幅)の縮小」「市販類似薬の薬価は保険外とする」の4点について検討を行っています

 後発品のある先発品などの薬価の見直し・先発医薬品の薬価を後発品の薬価を目指して引き下げについては、下記のような意見が示され、15名が見直すべき(うち13名は先発品の後発品並の引き下げが必要)とする判定を行っています。

  • 後発品の使用を欧米並みに金額ベースで30%、数量ベースで60%を目指すべき
  • 後発品の価格までの保険負担にすべき(参照価格の導入)
  • 製薬業界に特別な税制(600億円)があり、研究開発費も控除されているのだから、先発品の薬価引き下げで研究開発意欲をそぐとはいえない
  • 先発品の価格を下げてしまうと患者は後発品ではなく先発品を選択してしまうのではないか
  • 一般名処方を義務付けるべきだ
  • 後発医薬品の情報提供をして初めて患者が選べるようにすべき
  • 後発医薬品の安全性の情報を厚労省は明確に示すべき

 医療材料の内外価格差(1.7倍)解消については、内外価格差1.7倍あるが、もう少し是正が可能ではないかとして、12名が見直しをすべきと判定を行っています。

 薬価差の2%上乗せ(調整幅)の縮小については9名が見直すべきとの判定を行っていますが、議論不足として、WGとしては有力な意見ということにとどめています

 市販類似薬の薬価は保険外とするについては、11名が見直すべきとの判定を行っていますが、湿布薬(高齢者)、漢方薬(女性)など、特定の層の人だけの負担が出てくる可能性があるとして、公的医療の範囲をどこまでにするのかといった議論も必要だとしています。

評価コメントと評価結果
 http://www.cao.go.jp/sasshin/oshirase/h-kekka/pdf/nov11kekka/2-5.pdf

 ある委員が、「調剤薬局の一人勝ち」と何度も叫んでいましたね。そんなことはないと思うのですが。

関連情報:TOPICS 2009.11.09 事業仕分け、薬価の見直しなども対象に

参考:
【行政刷新会議が「事業仕分け」】長期収載品の薬価見直しへ‐後発品対策は方向定まらず
(薬事日報HEADLINE NEWS 11月12日)
 http://www.yakuji.co.jp/entry17237.html
CBニュース(11月11日 一定期間を過ぎるとログイン必要)
 http://www.cabrain.net/news/article/newsId/25151.html
 http://www.cabrain.net/news/article.do?newsId=25151&showMovie=1
仕分け結果の詳報 (47NEWS 11月11日 共同通信配信)
 http://www.47news.jp/CN/200911/CN2009111101000954.html

11月11日 22:50更新 12日 12:00 13日10:10リンク追加 


2009年11月11日 16:45 投稿

コメントが5つあります

  1. 薬局の現場は大混乱。新薬メーカーはみんなゾロメーカーにならなくては経営できない。新薬開発は明らかに国内メーカーは放棄。海外大手メーカーに任せる事になるだろう。研究開発費を捻出できない。企業合併は薬局も、病院も製薬企業も始まり、大リストラが始まるでしょう。民主党は自民党小泉政権より過激ですね。ヨーロッパ方式の参照価格制度が本当に導入されるんですかね。

  2. アポネット 小嶋

    磯部総一郎薬剤管理官が11日、各紙の取材に対し「長期収載品の薬価下げは考えざるを得ない」と話しているようです。

    磯部管理官  長期収載品の薬価下げ「考えざるを得ない」
    (日刊薬業WEBフリーサイト 11月11日)
    http://nk.jiho.jp/servlet/nk/gyosei/article/1226552061053.html?pageKind=outline

    でも後発品並みに下げたら、ジェネリックは使わなくなってしまいませんかね?

    私は、市販類似薬(風邪薬・ビタミン剤・湿布薬、漢方薬は微妙)を保険外にする、負担率を上げるなどの方策も検討した方がいいと思うのですが。

    法律の変更を伴うのでなかなかむずかしいでしょうが。

  3. 後発並みに下げたら先発を使わない・・・・
    >多分、調剤薬局はジェネリック推進で尻叩かれますから、使わざるをえないでしょう。
    病院もまるめのところは、とにかく安い薬価ですから使わざるをえないでしょう。
    ある程度は先発に戻るかもしれませんが・・・・

    国にしたら「医療費を抑制する」ことが重要で「ジェネリックを使うことが重要」ではないと思います。

  4. アポネット 小嶋

    ツムラの芳井順一社長が12日、都内で開いた中間決算説明会で「事業仕分け」の結果に不快感を示していますね。

    【ツムラ・芳井社長】漢方薬の“保険外し”に反発‐「事業仕分け」の結論を一蹴
     (薬事日報 HEADLINE NEWS 11月13日)
     http://www.yakuji.co.jp/entry17252.html

    私も、削減ありき、結論ありきの今回の財務省主導の「事業仕分け」のやり方には疑問がありますね。

    関連ブログ:
     小泉以上に市場原理主義な行政刷新会議・・・
       (内科開業医のお勉強日記)
     http://intmed.exblog.jp/9233608/

  5. アポネット 小嶋

    薬事日報は20日、今回の仕分けについての社説を掲載しています。

    後発品使用促進は信頼確保が第一
    (薬事日報 社説 11月20日)
    http://www.yakuji.co.jp/entry17309.html

    仕分けでのやり取りの様子は、下記サイトにアップされています。

    特許切れ薬もっと安く 事業仕分け1日目(2)
    (ロハスメディカル 11月12日)
    http://lohasmedical.jp/news/2009/11/12124645.php

    日薬も19日の定例記者会見でコメントを出しています。

    日薬・石井専務理事 事業仕分けに不快感「乱暴過ぎる」
    (日刊薬業WEB フリーサイト 11月19日)
    http://nk.jiho.jp/servlet/nk/dantai/article/1226552094668.html?pageKind=outline