適度のアルコールは健康によいのではないかということを裏付ける論文が、Heart 誌のOnline Firstに掲載されています。
Alcohol intake and the Risk of coronary heart disease in the Spanish EPIC cohort study
(Published Online First: 19 November 2009.10.1136/hrt.2009.173419.)
http://heart.bmj.com/cgi/content/abstract/hrt.2009.173419v1
この研究は、29歳〜69歳までのスペインの男性15,630人、女性25,808人を対象に行われた cohort study(スペイン保健省が支援)で、10年間追跡調査し、アルコールの摂取量とCHD(coronary heart disease:虚血性心疾患)の発症リスクを調べたもので、結果は以下のようになっています。(アブストラクトの他、他のメディアの情報で作成。p values は不明)
分類 | アルコール 摂取量 |
全体 | 男性 | 女性 |
---|---|---|---|---|
former | HR 0.86 (95% CI 0.54-1.38) |
HR 1.17 (95% CI 0.66-2.08) |
||
low | 0〜5 mg/day | HR 0.65 (95% CI 0.41-1.04) |
HR 0.64 (95% CI 0.4-1.0) |
HR 0.75 (95% CI 0.48-1.17) |
Moderate | 5〜30mg/day | HR 0.49 (95% CI 0.32-0.75) |
HR 0.47 (95% CI 0.31-0.73) |
HR 0.62 (95% CI 0.36-1.07) |
high | 30〜90mg/day | HR 0.46 (95% CI 0.30-0.71) |
HR 0.45 (95% CI 0.29-0.69) |
HR 0.21 (95% CI 0.03-1.52) |
very high | 90mg/day〜 | HR 0.50 (95% CI 0.29-0.85) |
HR 0.49 (95% CI 0.28-0.86) |
平たく言うと、男性のみ、適度の飲酒は心臓を保護する可能性がある(CHDの発症リスクが約1/3〜1/2)ということです。(女性は優位差なし)
アルコールの種類は関係がないとのことですが、赤ワインの効果や、飲酒後のHDL-Cの上昇が関連するのではないかとする研究者の声があります。
一方、がんリスクについても考慮すべきだとの声もあり、まだまだ検証は必要のようです。
参考:
Alcohol Cuts CHD Risk in Men(MedPage TODAY 2009.11.18)
http://www.medpagetoday.com/Cardiology/Prevention/17095
Moderate Drinking Guards the Heart(Health Day 2009.11.19)
http://www.healthday.com/printer.asp?AID=633260
2009年11月20日 14:37 投稿