ADHD予防には妊婦の禁煙と鉛暴露を避けることが必要

 近年増加している、子どものADHDについては以前より何らかの化学物質との関連が指摘されいますが、PEDIATRICS 誌のEarly Release に、妊娠中の母親の喫煙と鉛の暴露がADHDの発症リスクを高めるとした研究結果が掲載されています。

Association of tobacco and lead exposures with attention-deficit/hyperactivity disorder (Pediatrics published online November 23, 2009)
 http://pediatrics.aappublications.org/cgi/content/abstract/peds.2009-0738v1

 この研究は、2001-2004 National Health and Nutrition Examination Survey のうち8〜15歳のこどもの2588人のデータを調べたもので、8.7%の子どもがADHDと診断されていたそうです。

 さらにADHDの発症リスクは、母親の妊娠中の喫煙で2.4倍(喫煙グループの発症16.8%、非喫煙6.6%)、鉛への暴露(血中の鉛濃度を3つにグループに分けて比較)で2.3倍、これら2つの暴露があると8.1倍(発症率28.6%)に達したそうです。

 一方で、間接喫煙によるリスク上昇は見られなかったとしています。

 研究者らには、ADHDの治療法ばかりに注目が集まっているが、これら2つの暴露を防止するだけで、米国内でのADHDの発症を22.5〜47%を予防できるのではないかとしています。

 2006年9月に発表された研究(TOPICS 2006.09.20)と似たような研究で、時期が異なりますが、おおよそ同じ結果となっています。

 妊娠中の禁煙はもちろんのこと、鉛についても日本でも既に規制はされていますが、古いペンキや古い水道管、おもちゃなど身近で小さい子どもが手にするものに、鉛が含まれていないかどうか改めて注意することは必要かもしれません。

関連情報:TOPICS(旧サイトです)
  2007.05.09 ADHDと親の喫煙
  2006.09.20 ADHDの増加は、胎児期のたばこ曝露と鉛が原因か?(米国報告)
  2007.02.17 鉛含有金属製アクセサリー類等の安全対策に関する検討会報告書

  第83回アポネットR研究会報告(子どもの軽度発達障害)

参考:
Lead, Tobacco Linked to ADHD(Nedpage TODAY 2009.11.23)
http://www.medpagetoday.com/Pediatrics/ADHD-ADD/17159
ADHD tied to tobacco, lead exposure(CBC.Ca 2009.11.23)
http://www.cbc.ca/health/story/2009/11/23/
adhd-children-lead-tobacco-smoke.html

Smoking During Pregnancy, Lead Exposure Raise ADHD Risk in Kids
(Health DAY 2009.11.23)

http://www.healthday.com/Article.asp?AID=633349


2009年11月24日 14:22 投稿

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