厚労省は1日、コデイン系成分を含む製品(OTC薬も含む)について、これらの製品を服用中は授乳を避けるなどの注意喚起を記した添付文書の変更を指示しました。
使用上の注意改訂情報(平成21年12月1日指示分、15-19)(PMDAウェブサイト)
これは、海外などの研究で授乳婦がコデインを服用した場合、ごく稀ではあるが、コデイン服用後代謝の過程(迅速代謝)でできたモルヒネが乳汁に移行し、これを飲んだ乳幼児が呼吸抑制などの有害事象を起こす可能性があるという報告があるため(TOPICS 2007.08.18)です。
一部医療用医薬品については、既に「授乳中の婦人には、本剤投与中は授乳を避けさせること」などの記載はありましたが、今回「母乳への移行により、乳児でモルヒネ中毒が生じたとの報告がある」との記載を追記することで海外との整合性を図ったようです。
また、フスコデ、セキコデ、オピセゾールコデイン、カフコデN、濃厚ブロチンコデインなどのジヒドロコデインが配合された製品についても、類似化合物(コデイン)で、母乳への移行により、乳児でモルヒネ中毒が生じたとの報告があるとして、「授乳中の婦人には、本剤投与中は授乳を避けさせること。」に添付文書が改められます。
一方、OTC薬については、コデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデインリン酸塩、リン酸ヒドロコデインセキサノールのいずれかを含有する製剤について、[してはいけないこと]の項に「授乳中の人は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けること」が追記され、[相談すること]の項の「授乳中の人」がを削除されるそうです。
日本人には迅速代謝を起こす遺伝子の型を持つ人は1%程度にすぎないことや、ジヒドロコデインが該当しなかったということで、注意喚起はあえてしなかったのかもしれませんが、米FDAの注意喚起(TOPICS 2007.08.18)より何と2年以上も遅れましたね。
英国では、乳幼児を持つ保護者向けの冊子で、授乳婦はコデイン配合剤を使用しないように明記されている(TOPICS 2009.10.30の “Birth to Five (2009 edition)” )ことを考えると、日本でも授乳婦にしっかりとこのことについて注意喚起する必要がありそうです。(授乳婦本人には問題ないのかな?)
これで、多くのOTC風邪薬・咳止め薬は添付文書が余儀なくされます。いっそのこと、ついでに小児用風邪薬についても注意喚起の変更記載を行えばいいと思うのですが。
関連情報:TOPICS
2007.08.18 コデイン服用後の有害事象は遺伝子の型によって左右される
2009.10.30 妊婦と乳幼児のためのガイドブック(英国)
2009.11.11 小児用OTC風邪薬、添付文書の変更に踏み込まず
2009年12月02日 00:55 投稿