フィナステリドと男性の乳がんリスク(英MHRA)

 MHRA(英国医薬品庁)は、3日“Drug Safety Update”と“Public Assessment Report”を公表し、5α-還元酵素阻害薬フィナステリドの安全性情報のUpdateを勧告してます。

Finasteride and the risk of male breast cancer
 (Safety warnings, alerts and recalls 2009.12.3)

The risk of male breast cancer with finasteride
  (MHRA PUBLIC ASSESSMENT REPORT 2009.12 PDF 329KB)

Drug Safety Update: Volume 3, Issue 5, December 2009
http://www.mhra.gov.uk/Publications/Safetyguidance/DrugSafetyUpdate/CON065444

 英国では、前立腺肥大症への適応がある5mg錠(Proscar)と男性の脱毛症への適応がある1mg錠(プロペシア)が承認されていますが、MHRAでは英国内外で発表された論文や市販後調査のデータなどをレビューし、Public Assessment Report として公表しています。

 その結果、フィナステリドを使用した男性の中から、2009年11月までに5mg錠で50例、1mg錠で3例の乳がんの発症の報告(症例の多くは5年以内に発症)があり、フィナステリドを使用しなかった人と比べて発症数が多いとしています。(10万人あたり7.8人対3.8人)

 これを受け、MHRAでは製品説明書(APCs:Summaries of Product Characteristics)の“Special warnings and precautions for use”の項に、「市販後調査でフィナステリドを服用した男性から乳がんの発症が報告されている。医師は患者に対し、胸のあたりにしこりがある、痛みがある、女性化乳房、乳頭からの分泌(?)が見られるときはすぐに伝えるよう説明しなさい」との追記を求めた他、患者向けの説明書(PIL:patient information leaflets)についても、“Possible side effects”の項目に「乳がんなど重篤な疾患の前兆症状の可能性があるとして、胸のあたりの異常を感じたらすぐに医師に伝えること」が追記されています。

 日本のプロペシアの添付文書では現在、「フィナステリド長期投与と男性乳がんの発現との因果関係は不明である。」との記載となっていますが、おそらくこれも改められることになるでしょう。

関連情報:Finasteride – risk of male breast cancer
(Pharmacovigilance Working Party monthly reports OCTOBER 2009)
 http://www.emea.europa.eu/pdfs/human/phvwp/66624309en.pdf

上記和訳は、医薬品安全性情報Vol.7 No.25に掲載
 http://www.nihs.go.jp/dig/sireport/weekly7/25091210.pdf

12月10日更新


2009年12月04日 11:54 投稿

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