第1回健康食品の表示に関する検討会

 既に、業界紙や全国紙でご存じかと思いますが、 特定保健用食品を始めとするいわゆる健康食品の表示の課題について検討を行う消費者庁の「第1回健康食品の表示に関する検討会」が11月25日に開催されています。配付資料(特に資料2と太田委員提出資料2は必見です)と11日に公表された議事録をあわせて読むと健康食品制度の歴史や現状の概要を知ることができます。

第1回健康食品の表示に関する検討会(消費者庁2009年11月25日)
 議事録(12月11日掲載)

資料:【議事次第】[PDF:43KB]
【資料1】健康食品の表示に関する検討会開催要領(案)[PDF:98KB]
【資料2】健康食品の表示をめぐる現状[PDF:1.3MB]
【資料3】「健康食品の表示に関する検討会」今後のスケジュール[PDF:70KB]
【太田委員提出資料(1)】健食懇09[PDF:646KB]
【太田委員提出資料(2)】フードスタイル21 3月号[PDF:610KB]

検討会では、委員から次のような意見が示されています。

  • 健康食品の健康の概念は何かとか、それから機能の概念は何かとかということが入ってきまして、ここの定義をはっきり現在または近未来にふさわしいものにすることが何か必要なのではないか
  • 食品の表示のあり方、栄養とか栄養成分とか、それの機能の表示とかの枠組みをもう一回整理をしてみる必要があるのではないか
  • 特別用途食品は明らかに特別なグループの人が必要である病者用なりえん下困難者の食品と、一般の人が広く利用する特定保健用食品というのは別ものであるから、このカテゴリーに矛盾があると思います。更に国際的な視点から、コーデックス委員会とか、ヨーロッパなりアメリカでもこれは分けられております。
  • (資料)アンケートを見ますと、病気を治すためと思って摂取しておられるような方すらおられると。こういう状況の中で、薬事法の規制と比べて、健康食品の規制がゆるやかすぎると思います。特保は一応審査をしますから、規制している部分もあるかと思いますが、ほかのものは何も要らないという状態で、薬事法は許可が必要ですよね。それに比べると、余りにも規制のレベルが違い過ぎると思うんですね。ここに実はこういう商品がはびこる理由もあるので、そういう意味ではこの制度設計を薬事法も含めてもう一度考えてみる必要がある。

 なお、第2回検討会は22日に、日医、日薬、日本栄養師会、全国消費者団体連絡会、全国消費生活相談員協会、東京都保健福祉局健康安全部の関係団体等からヒアリングが行われます。

第2回「健康食品の表示に関する検討会」の開催について(消費者庁12月14日)
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin101.pdf

 ところで、今回の検討会の発端となったエコナやトクホの問題について、国立医薬品食品衛生研究所の畝山氏がFoodScienceで解説記事を書いています。こちらも参考になります。

うねやま研究室●「エコナ」問題の本質はどこにある?
(FoodScience〜食の機能と安全 2009年10月28日)

http://biotech.nikkeibp.co.jp/fsn/kiji.jsp?kiji=3503

関連情報:TOPICS
 2009.11.07 消費者庁、健康食品の表示に関する検討会の開催を発表
 2009.10.08 花王、エコナのトクホ認定を返上


2009年12月14日 17:55 投稿

コメントが10つあります

  1. 太田委員の委員提出資料(1)健食懇09で、
    石崎 岳 衆議院議員(当時自由民主党 国会対策副委員長)
    の発言を引用しています。

    > 健康食品は2兆円規模の産業として成長し利
    > 用者の多くが健康を目的として利用しているに
    > もかかわらず、商品の働きに関する「機能性」
    > の表示は現行薬事法に抵触する。国会議員は立
    > 法府の一員として「国民の健康」と「健康産業
    > の振興」を高齢社会への積極的な対策と考える。
    > また新しい成長産業の振興に繋がるものと位置
    > づけて研究していかなければならない課題と考
    > える。生産者の立場からだけでなく、消費者の
    > 立場からも「健康食品」の安全性や信頼性の担
    > 保について検討し健康に役立つようにしなけれ
    > ばならない。

    このインタビュー動画が見られます。

    総務副大臣石崎岳氏「健康食品の法制化」について
    http://fv1.jp/movie_flv/2009/03/01.html

  2. アポネット 小嶋

    情報ありがとうございます。動画拝見させて頂きました。

    このフードボイスというサイトはおもしろいですね。
    http://fv1.jp/index.html

    新政権はどのようなスタンスで対応していくのでしょうか。

    関連情報です
    TOPICS 2008.07.11 「健康食品」の安全性確保に関する検討会報告書

    エコナ問題、もっと科学的論議を(毎日新聞12月17日)
    http://mainichi.jp/select/opinion/eye/news/20091217k0000m070142000c.html

  3. > 新政権はどのようなスタンスで対応していくのでしょうか。

    民主党の「INDEX2009医療政策」には、次のように書かれています。

    ●予防医学の推進
    心筋梗塞や脳卒中等の原因である動脈硬化を防ぐため、メタボリックシンドローム対策や禁煙対策など、個人で取り組むことのできる健康管理の態勢づくりをします。また、子どものころから生活習慣改善に対する啓発活動を推進します。未成年者の喫煙防止、成人の喫煙率低下のため、禁煙対策に取り組みます。

    ●統合医療の確立ならびに推進
    漢方、健康補助食品やハーブ療法、食餌療法、あんま・マッサージ・指圧、鍼灸、柔道整復、音楽療法といった相補・代替医療について、予防の観点から、統合医療として科学的根拠を確立します。アジアの東玄関という地理的要件を活かし、日本の特色ある医療を推進するため、専門的な医療従事者の養成を図るとともに、調査・研究の機関の設置を検討します。
    http://www.dpj.or.jp/policy/koseirodou/index2009_medic.html

    政策にあるとおり、予防医療・統合医療が積極的に推進されるといいです。
    流行語大賞になった「政権交代」であって、「政権後退」でない事を望みます。

  4. アポネット 小嶋

    コメントありがとうございます。

    22日、第2回検討会が開催されましたね。(議事録が出ましたら、別記事を立てる予定です)

    第2回健康食品の表示に関する検討会資料(2009年12月22日)
     http://www.caa.go.jp/foods/index.html#m04

    日薬も意見を述べています。

    資料2 日本薬剤師会提出資料
     http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin107.pdf

    日薬では

    「健康食品」については、医薬品的な効果を期待させ、かつ食品であるから安全であるとの消費者心理を利用していると思われるような販売実態があることは大きな問題と考える。

    としたうえで、

    「成分、表示、広告などの面から問題があると考えられる食品を速やかに市場から排除できる仕組みが必要」

    「被害発生の情報収集・分析・評価体制を整備することが必要」

    「摂取量の表示のみならず医薬品成分や他の食品成分との相互作用などの情報も重要である。例えば、医薬品を服用している方への注意表示を検討することも必要」

    「「健康食品」を医薬品の代替品的に使用することにより、適正な医療を受ける機会を逸し疾病の長期化や重篤化を招くおそれがあることから、販売に当たっては、情報の収集、提供が不可欠であり、薬剤師等の専門家の積極的な関与が必要」

    などの提言を行っています。

  5. アポネット 小嶋

    第2回の議事録と1月14日に行われた第3回検討会の資料が掲載されています。

    健康食品の表示に関する検討会情報
     http://www.caa.go.jp/foods/index1.html

    第3回検討会では、「特定非営利活動法人 日本消費者連盟」「社団法人 日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会」「健康食品産業協議会」からヒアリングが行われています。

  6. 政府、統合医療を本格導入へ
    厚生労働省にプロジェクトチーム設置
    ヘルスライフビジネス・2010年2月1日

    こんな記事ありましたので、国会議事録を探しました。

    民主党 山根隆治議員
    公明党 弘友和夫議員
    http://suiso.digiweb.jp/20100128sangiin.htm

  7. 「統合医療」推進へ厚労省がプロジェクトチーム 効果や安全性分析
    2010.2.11 21:54
     西洋医学に漢方や自然療法を取り入れた「統合医療」推進に向け、厚生労働省はプロジェクトチーム(PT)を設置、効果や安全性の本格的分析を始めた。推進は民主党がマニフェストで示した公約。鳩山由紀夫首相も初の施政方針演説で「積極的な推進の検討」を約束していた。

     統合医療は中国医学やカイロプラクティック、アロマセラピーなど多岐にわたる「相補・代替医療」で構成。個別の症状に応じ、治療法や薬を選ぶ患者中心の医療が期待され、薬剤コストが低く医療費抑制が見込めるのが利点だ。

     統合医療をめぐっては、1月の参院予算委員会で鳩山首相が「問題点が指摘はされているが、政府としても真剣に検討したい」と述べ、長妻昭厚労相もPT設置の考えを示した。厚労省は平成22年度予算案に、漢方分野に特化した研究費10億円を新規計上している。
    http://sankei.jp.msn.com/life/welfare/100211/wlf1002112156002-n1.htm

    こちらのコメント欄の方が情報早かったですね。

  8. 2月19日、消費者庁は「第5回健康食品の表示に関する検討会」を開催した。
    今回は個別テーマの分析として、消費者相談の現状と景品表示法の運用実態について審議した。

    2009年11月末までの過去五年間、全国の苦情相談情報データベース化したPIO-NETを統計的に分析すると、食料品の相談のうち健康食品が51.9%を占め、そのうち47.7%が60歳代以上と高齢者が大半を占めている。また通販や訪問販売など店舗以外の購入が圧倒的に多く、購入金額が10万円から100万円と特に高額のものに相談が多い。危害の申し出も60歳代以上が半数を占めている。疾病を持つ消費者が、効果がなかったとする相談が特徴である。

    健康食品を食べることによって「どの程度期待できるか、エビデンスのある範囲で表示することが、消費者との期待乖離につながる」、「キチンとした表示・説明があれば相談は減るのではないか」など、適切な表示をしないことの問題点が指摘された。
    http://blog.goo.ne.jp/caago/e/6c05ae4d738ea52590988505294000d7

  9. アポネット 小嶋

    第5回の資料が消費者庁HPにアップされていますね。

    健康食品の表示に関する検討会情報(消費者庁)
     http://www.caa.go.jp/foods/index1.html

    紹介して頂いた記事の消費者相談についての部分は、国民生活センターの宗林委員がプレゼンしています。

    【資料1】宗林委員提出資料
     http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin186.pdf

    第5回 健康食品の表示に関する検討会 健康美容ニュース
    (健康美容EXPO 2月19日)
     http://news.e-expo.net/news/2010/02/post-128.html

    コンドロイチンについては、本サイトでも取り上げています。

    TOPICS 2008.08.08 国民生活センター、グルコサミン等の調査結果を公表

  10. 小嶋さん、コンドロイチンの情報ありがとうございます。
    こちらには問題の18社すべて社名が出ていますね。

    これはメーカーの問題なのか、製造委託した工場の問題なのか、
    あるいは原材料の定義が異なるものか。
    疑問が残ります。