セルフメディケーションが根付くか(新年雑感)

 セルフメディケーションに関する今年の大きな話題と言えば、昨年末にGOサインが出た、ロキソニンのスイッチ品の販売がされることでしょう。(おそらく年内だとは思いますが)

 ロキソニンは日本での使用経験が長いことから、安全性等のデータが集積しておりスイッチは妥当とは思いますが、広く使われていることもあり、イブプロフェンより多くの有害事象の報告があります。、

 ロキソプロフェンナトリウム(PMDA副作用が疑われる症例報告に関する情報)
   副作用症例一覧2009年の副作用症例数2008年の副作用症例数

 このため、TOPICS 12.24 で記したように、添付文書案(WAMNET資料)を見るとイブプロフェン製剤と比べ、使用できない人や副作用の注意喚起について踏み込んだ記載があります。

 つまり、販売時における購入者からの情報収集、購入者への情報提供がきちんと行われる必要があります。まさしく、改正薬事法によって位置づけられた薬剤師の役割が問われることになるでしょう。

 また、リスクは少ないものの心臓血管病のリスクやスティーブンス・ジョンソン症候群、肝障害などの重大な副作用の情報を、どのようにどの程度まで伝えるかということも検討されるべきでしょう。(処方せん薬について、どこまで行っているかという問題もありますが)

 今後は、メーカーはもちろんのこと、トリアージを重視した販売ガイダンス(手引き・指針)を日薬も独自に作成し、販売開始までに現場の薬剤師に徹底する必要があるでしょう。

 もちろん、ロキソニンに続くスイッチ品の登場も期待したいですね。(エパデールも年内にGOサイン?)

 一方、現在進行中と思われる覆面調査(TOPICS 2009.07.07)の結果も注目です。結果如何では、日薬の指導力を問われることにもつながりかねません。OTC薬関連の委員会で、現在販売中の第一類医薬品のガイダンスを検討して頂ければと思っています。

 さらに、新しい指導要領を受けて、今年は小中学校・高校などでの“くすり教育”が実践されていくものと思われます。

 いずれにせよ、セルフメディケーションが根付いていくための、きっかけの一年となるかもしれませんね。

関連ブログ:ロキソニンは薬剤師の説明が必要! 患者に難解な添付文書 第1類医薬品
 (医薬品・化粧品・食品に関する情報 2009年12月27日)
   http://yakuji.exblog.jp/10599739/

関連情報:TOPICS
  2010.01.03 NPS Pharmacy Practice Reviews(豪州)
  2010.01.01 新年雑感
  2009.12.24 ロキソニンOTC品の添付文書(案)
  2009.11.05 こんな進め方ではスイッチOTCが増えることはない
  2009.08.28 日本は本気でセルフメディケーションを推進する気があるのか?
  2009.04.28 厚労省、スイッチ候補18成分を公表
  2008.12.28 第一類の販売には、販売実践ガイダンスの開発が必要
  2009.07.07 厚労省、OTCの販売実態を覆面調査で確認へ
  2009.10.30 医薬品と健康・高校生用(日本学校保健会)
  2008.12.23 高校でも、くすり教育の充実が求められる

関連記事:CBニュース(1月3日 一定期間を過ぎるとログイン必要)
   http://www.cabrain.net/news/article/newsId/25705.html

1月3日 15:30リンク追加


2010年01月03日 01:06 投稿

コメントが3つあります

  1. 大山 謙二

    ロキソニンの情報ありがとうございます。
    さすがは小嶋様、私も最近発表されたロキソニンの副作用情報に気をとめていました。
    たしか肝機能障害でしたか。腎機能は有名ですが・・・
    メーカーも安易なスイッチには気をつけていただきたいとも思っています。
    パップ、テープの処方が増えてきてますので、注意して見守っていきたいと思っています。

  2. アポネット 小嶋

    コメントありがとうございます。

    副作用の症例はあくまでも、疑いがあるというものが含まれているので、ロキソニンによるものではない可能性があることを留意する必要があります。

    ロキソプロフェンナトリウムは日本で開発されたということもあり、Pubmedで検索をかけても有害事象などをまとめた海外の論文はほとんど出てきません。(もちろんOTCとしてスイッチされている国はない)

    一方「ロキソプロフェン」のキーワードでCinii検索(http://ci.nii.ac.jp/)をかけると、80近くの論文情報が出てきます。薬剤性肺障害、薬剤性肝障害、薬疹などの報告があります。(夜間頻尿に試用されているんだ)

    起こりうる有害事象をきちんと伝え、購入した人が適正に使用すれば問題はないでしょうが、OTCgとして広く使われたときにどうなるかは全くわかりませんね。

  3. 大山 謙二

    遅くなりましてすみません、適切なご回答いただきましてありがとうござます。私は恥ずかしながらPubmedをまだ活用できておりません。日本語に訳して掲載されているものをメーカーのホームページから読んで知識として取り入れているぐらいです。ロキソニンがOTCとしてスイッチされている国はないんですね。1類として販売されれば安心とは思いますが・・・
    これからはCochraneなども活用できる薬剤師を目指したいですが先が遠いです。自分で面白くなって読めたり調べられるようにならないと続かない気がします。